書店で働き続けることが一番の目標
自分の余白を信じて仕事をしていきたい

——お話をうかがっていると、山本さんの手でお店がどんどん進化しているように感じます。「大手町店をもっとこうしていきたい!」という理想はありますか?

くまざわ書店大手町店 山本善之さん(後編)<br />「もっと新しいこともできると信じています」<br />自分の余白を信じて理想の店づくりに邁進する大手町店には今日も多くのビジネスマンが足を運ぶ

山本 このお店にきて最初の1年間は、まずはほかのお店に溶け込んで、大手町という街のレベルに追いつきたいと考えていました。そこは一通り達成できたと思います。また、ほかのお店がやっていない時間帯や曜日も営業していることで、お客様にお店がある意義を感じていただいているように思います。

——売上も順調なため現状維持でもいいのかなと思えてしまいますが、次に目指すべきところを教えてください。

山本 おこがましいかもしれませんが、売れ筋の商品でも真っ向勝負をして、競合店に少しでも追いつきたいです。サブとしての役割でなく、最初からうちのお店に商品を探しにきてくれるように。

 もちろん、すべての商品を置けるわけではないので難しいことは分かっていますが、バランスを取りながら対応して、くまざわ書店だけで魅力を感じていただける店にしたいと思います。

——間違いなく、大手町店のファンの方はたくさんいらっしゃると思います。それでは最後に、ご自身の目標があれば聞かせてください。

山本 う~ん、特にありません(笑)。というのは、大学生のときも書店でアルバイトしていましたが、アルバイトにできることはレジ業務がほとんどです。そのときから、「いつかちゃんと自分で棚をつくって、いちからアピールしたい」と思っていました。その願いが今、叶っています。理想に近い職業に縁あって就くことができました。

 業界としてお店を続けるだけでも難しい環境だと理解していますし、スタイルが変わって、売るものが変わったとしても、今はこの仕事を続けていくことが目標です。

 店長という立場になってから2年で、まだ2店舗しか店長の経験がありません。自分にはまだまだ余白があると思っていますし、もっと新しいこともできると信じています。それは楽しみですね。

ご自身の目標を語る山本さんからは、謙虚さのなかにも、仕事に対する熱い思いを感じることができました。くまざわ書店大手町店が今後どのような進化を遂げるのか。いち本好きとしても非常に楽しみです。大変お忙しいにもかかわらず、インタビューにご対応いただいた山本さん。本当にありがとうございました。