批判が強まっていたソーシャルゲームの「コンプガチャ」が、消費者庁の規制により、7月から正式に罰則対象となった。これにより、コンプガチャ問題はひとまず終息を迎えたが、規制の意義がよく議論されないまま世の中の関心が薄れつつつあることには、危機感を禁じ得ない。インターネット業界に多く見られる「グレーゾーン・ビジネス」は、なぜ生まれるのか。それを議論しない限り、今後もコンプガチャのようなサービスが登場し、行政がそれを規制するという「イタチごっこ」が繰り返されるだけだ。コンプガチャ規制を改めて振り返りながら、消費者不在のサービスがいつまでも跋扈する原因を考える。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)

7月からコンプガチャも罰則対象に
世に出回る「グレーゾーン・ビジネス」

「気がついたら、子どもがソーシャルゲーム中毒になっていた」「後から数十万円もの請求書が届いた」

 ソーシャルゲーム人気が華やかりしなか、今年春先からユーザーのこうした不信感がにわかに噴出し始めた「コンプガチャ」(コンプリートガチャ)。これは、ゲームのプレイ中に特定のアイテムを揃えれば(コンプリートすれば)、レアアイテムを入手できる仕組みのことだ。

 ユーザー間では、アイテムのレア度を評価する文化があり、またアイテムを揃える過程が楽しいことから、コンプガチャの人気は過熱していた。ユーザーの射幸心を煽り、ゲームにのめり込ませる魔力を持っていた。

 問題は、「無料」を謳ってユーザーを増やしているソーシャルゲームの中に、「有料」のコンプガチャの仕組みが巧みに忍ばせられていたこと。ユーザーが夢中になってアイテムを集めているうちに、莫大な金額が課金されていく。それが、ゲーム業者が急成長を続ける「資金源」となってきた。

 批判の声が高まるなか、6月18日、消費者庁が景品表示法の運用基準改正案を示し、コンプガチャは7月から正式に罰則対象になった。これを受け、ソーシャルゲーム各社で構成される協議会は、新ガイドラインを策定。健全化に向けた自主的な動きが評価され、事態は沈静化に向かいつつある。

 これほどまでにコンプガチャ問題が取り沙汰され、ソーシャルゲーム各社が叩かれたのは、これが「グレー」なビジネスだったためだろう。