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消費者物価の大幅下落は必至
デフレを招く「安売り戦国時代」

2009年2月5日
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  「お客様からたまにお問い合わせをいただきますが、うちは西友さんと違い、店頭価格からの値引きはできませんし、今後その予定もありません。もともとコストなどを考えながら、精一杯の良心価格でご提供していますので・・・・・・」

 JR中央線沿線に店舗を構えるある電鉄系の中堅スーパーで、「値引き」について訪ねたところ、売り場担当者は困った顔でこう答えた。

 原材料価格の高騰に苦しめられたかと思えば、その後世界的な不況で消費が見る見る落ち込むなど、昨年から続く未曾有の苦境で、日本企業は疲弊し切っている。

 そんななか、低迷する消費の最前線に立たされている流通業界では、昨年12月から西友が始めた「他社価格チラシ照合制度」という値引き戦略により、波紋が広がっているという。

 この値引き戦略は、お客が競合店の商品チラシを持参して、それよりも商品価格が高い場合、店頭でその商品価格まで値引きしてくれるという、かなり大胆な試み。そのため、冒頭のスーパーのように、「たとえ追随したくてもマネをできそうもない」というのが、競合店のホンネのようだ。

 不景気になれば、お客のサイフのヒモがきつくなる。だから安売りをすればよい――。ことはそう単純ではない。他社追随型のやみくもな安売りは、厳しい自社の利益水準を、さらに落ち込ませてしまいかねないからだ。

 この異例の安売り、報道を見る限り、西友の直近の売り上げアップに少なからず貢献しているようだ。だが、同社が出店している周辺エリアの声を拾うと、「今後も追い風ばかり」とは言えない現状が浮かび上がって来る。

 西友の店舗にほど近い商店街の関係者は、こう語る。

  「そもそも店頭での値引きは、地元の商店の多くが、スーパーに対抗するためにやって来た昔ながらの手法。損をしないように値引いて、うまく常連客を集めるテクニックならこちらに分があるし、ハナから客層も違う。だが、大手がそんなことを始めると聞けば、確かに不安はある」(個人食料品店)

  「正直、“余計なことを始めてくれたな”という気持ち。西友のせいでお客が減ったということはない。だけど、100円スーパーのような格安店が新たに進出して来るよりも、既存店に比較値引きをされるほうが、お客の心理に与えるインパクトが強い場合もある。地元に“何でも安売りで買えばよい”と考える主婦が増えるのは、地域にとってマイナスだと思う」(小規模スーパー)

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