7pay7月1日にスタートしたセブンペイはトラブルの末に3カ月で終了へ。競合のファミペイはおおむね順調に利用されている Photo by Satoru Okada

コンビニエンスストア業界の王者が鳴り物入りで始めたキャッシュレス決済サービス「セブンペイ」は、3カ月でお蔵入りに。後手に回る対応や社内の混乱から、「セブン帝国」の強みである結束力に亀裂が生じていることが伝わってくる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

 「記者会見の動画中継を見ていて、思わずズッコケた」──。セブン&アイ・ホールディングス(HD)が、「セブンペイ」の中止を発表した8月1日のそれだ。たった3カ月でサービス終了という失態に、ある関係者は言葉を失った。

 セブン独自のスマートフォンによるキャッシュレス決済サービスは、7月1日の開始直後にアカウントの乗っ取りによる不正利用が発覚。「2段階認証」がなされていないなど、セキュリティー上の不備が次々と指摘され、9月末での中止を余儀なくされた。

 HD傘下の運営会社であるセブン・ペイの奥田裕康取締役営業部長は、「開発段階では2段階認証を想定していたが、使用感を考慮して“入り口”の敷居を低くした」と見通しの甘さを釈明した。

 経済産業省や民間企業などで構成する一般社団法人キャッシュレス推進協議会のガイドラインでは、2段階認証を求めている。そして、協議会の理事には、セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)の古屋一樹会長が就任している他、会員企業にはSEJやセブン・ペイも名を連ねる。前出の関係者は、「協議会の会合には各社の担当者が出席していた。一体何を聞いていたのか」とあきれ顔だ。

 不正利用の原因については、グループナンバー2の後藤克弘HD副社長をトップとした、「セキュリティ対策プロジェクト」が調査を続けている。だが、調査報告書は「セキュリティー上の理由」によって外部に公表しない方針だ。過去に個人情報の漏えいを起こしたベネッセHDや日本テレビ放送網は、同様の報告書を公表しているにもかかわらず、である。