造船事業は苦境が続く。総合重機メーカーの造船比率は10%以下だが、ほぼ専業の三井造船は50%を超える。社長の危機意識を聞いた。

三井造船社長 加藤泰彦<br />造船以外の事業が成長すれば<br />社名を変えることも辞さないPhoto by Shinichi Yokoyama

──6月28日、4事業本部を3事業本部に減らし、それぞれ傘下にあった事業を機能別に組み替え、あらためて組織全体を束ね直した。その狙いはどこにあったのか。

 具体的には、鉄構・物流事業本部を解体し、建築エンジニアリング部門を環境・プラント事業本部に統合した上で、「エンジニアリング事業本部」を立ち上げた。

 また、鉄構・物流事業本部の物流運搬部門を機械・システム事業本部に移管し、機械・システム事業本部の発電エンジニアリング部門を新設したエンジニアリング事業本部に集約することにした。

 組織再編は、複数の部門が個別のエンジニアリング事業を抱えるという非効率を解消し、新興国が中心のEPC(建築一括請負)需要に対して技術力と組織力で迅速に動けるようにする狙いがある。

──一般的に、重工長大産業の現場は、部門が違えば、歴史も文化も価値観も異なる。また、仕事の進め方も違うので、どこか別会社のようでもある。今後は、どのように融和を図っていくのか。

 確かに、そういうきらいはある。だが、今回の組織再編は単に組織を動かしただけにとどまらず、“一体化”させる。水と油の併存にはならないように、いったんエンジニアリング事業本部という一つの箱(組織)にまとめて、体制や人員が融和せざるを得ないように詳細を設計した。

 もっとも、私はそれほど心配していない。というのも、組織再編は、幹部クラスと議論を重ねて出てきた課題から生まれたものだからだ。今後は、一本化したエンジニアリング事業本部を軸にして、ビジネスの規模を拡大させる。