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金融市場異論百出

欧州銀行同盟議論の最中に沸く
深刻なLIBORスキャンダル

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年7月11日
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 「一体、英国の銀行文化はどうなってしまったのだ?」(「ガーディアン」紙7月3日)。「英国の銀行文化は地獄行き。もはや大切にする必要はない」(「インディペンデント」紙7月1日)。

 現在、出張でロンドンにいる。英マスメディアは「LIBORスキャンダル」の報道で沸騰している。新聞は連日、1面、社説、特集記事でこの問題をエキセントリックに書き立てている。一般紙はユーロ圏の問題をほとんど報じていない。嵐のような批判の中、バークレイズ銀行のダイアモンドCEOは7月3日に辞任を表明する。それでも「デイリー・メール」紙(7月4日)は容赦せず、「2007年の金融危機以降、彼の報酬は1.2億ポンドに及び、さらに1800万ポンドをもらおうとしている」とたたいている。

 07~09年ごろの金融危機下で、英国の銀行が貸し出しやデリバティブ取引の指標金利となっているLIBOR(ロンドン銀行間オファー金利)を不当に低く提示していたことが英、米の調査当局によって追及されている。平時より高い金利を提示することで信用不安を煽ることを恐れた面があったと推測される。資金運用サイドの投資家にとっては「得べかりし利益」ということになるが、住宅ローンを借りていた家庭には悪くない状況だったと見なせなくもない。

 それでも英世論が怒りを示しているのは、金融危機後に全英国人は1人当たり1万9271ポンドを金融業界につぎ込んだのに、銀行家は不透明なことを続けているという不満が底流にある。「デイリー・テレグラフ」紙(7月4日)の1面には、彼氏を両親に紹介しようとしている女性が「うちの親にはあなたが銀行員だとは言ってないから」と話す漫画が載っていた。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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