『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ともにダイヤモンド社)などシリーズ累計25万部を突破した、プレゼンテーションの第一人者・前田鎌利さんが中心になって設立された「一般社団法人プレゼンテーション協会」が本格的な活動を開始した。9月9日に設立記者会見が開催され、ソフトバンク、ベネッセ、松竹など21社が加盟して、相互交流を図りながら社員のプレゼン力の向上を図るために、4つの事業を展開する方針が発表された。(ダイヤモンド社 田中泰)

ソフトバンク、松竹など21社が加盟する<br />「プレゼン力強化」をめざす団体がスタートプレゼンテーション協会について説明する代表理事の前田鎌利氏。

 一般社団法人プレゼンテーション協会を設立した前田鎌利氏は、ソフトバンク時代に孫正義氏に対するプレゼンで何度も「一発OK」を勝ち取ったほか、孫正義氏のプレゼン資料の作成を任されるなど、プレゼンの第一人者として知られる。ビジネスの現場で培ってきたノウハウをまとめた『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ともにダイヤモンド社)などがシリーズ累計25万部を突破するなど、多くのビジネスパーソンから支持を集めている。

 前田氏は、これまでのべ600社でプレゼンに関する研修を手がけてきたが、そのプロセスでクライアント企業から、おおむね次の3つの問題意識を打ち明けられることが多かったという。

1 せっかくの研修も“受けっぱなし”になっている
2 実際のスキル習得が確認できない
3 社内でプレゼン・スキルを伝播・共有する「自走力」がない

 そこで、これらの課題を解決することによって、「日本のプレゼン力の底上げ」を図ることを目的に同協会を設立。趣旨に賛同するKDDIラーニング、ジャパネット、松竹、ソフトバンク、ツムラ、パーソル総合研究所など21の企業を会員に迎えて活動をスタートさせる(2020年までに100社をめざす)。個人会員も今年11月から受付を開始する予定だ。

 協会では、次の4つの事業を軸に活動を展開していく。

1 分科会
“研修受けっぱなし”という課題を解決するための事業で、「セールスプレゼン部会」「ベンチャーキャピタル向けプレゼン部会」「ビジネスウーマンプレゼン部会」「ボイストレーニング部会」「グローバルプレゼン部会」などの分科会を設け、毎月、会員企業向け(一般公開もあり)に講演・対談・ワークショップなどのイベントを開催。会員企業相互の交流を図りつつ、継続的にプレゼンスキルの底上げをめざす取り組みである。

2 プレゼンスキル検定
 研修によるスキル習得レベルを確認するための事業で、研修受講後の企業向けに、学習定着の確認テストをオンライン受講できる仕組みを構築する。課題テキストは、前田氏の人気書籍『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』の3冊を使用。認定試験を実施することで、受講者の能力に応じて「初級」「中級」「上級」の資格を認定する(年2回実施)。

3 プレゼンテーション大学校
 社内でプレゼン・スキルを伝播・共有する「自走力」をつけることを目的とする事業で、「プレゼンスキル検定」の上級資格者のなかから、自社内でプレゼン研修講師を行いたい人を対象に「講師育成プログラム」を実施。月1回×6回の全6回プログラムを受講し、認定試験に合格した人を講師認定する。

4 プレゼンテーション研究所
 協会内にプレゼンテーション研究所を設け、「プレゼン最新トレンド」「AIプレゼン評価」「AIプレゼン資料作成」「プレゼン心理学」「スピーチ研究」を行い、その成果を会員向けに定期レポート配信をする。

 すでに、分科会イベントの開催も決定。11月末には三井不動産とベネッセコーポレーション、プレゼンテーション協会によるイベント「働き方改革 伝えるスキルを変えるプレゼン術(仮)」、12月8日にはプレゼンテーション協会「ビジネス女性部会」によるイベント「100人のビジネスウーマン達へ 伝えるスキルUP術(仮)」(会場協力:内田洋行)の開催が決まっている。

 ビジネスにおけるプレゼンの重要性は日増しに高まっているが、「日本では、プレゼンに苦手意識をもつ人が90%を超える」との調査もあるのが実態だ。先進的な企業が切磋琢磨しながら、社員の「プレゼン力の底上げ」を図るプレゼンテーション協会の活動がどのような成果を生み出すか注目される。

*プレゼンテーション協会の詳細はこちらから https://www.presen.or.jp/

ソフトバンク、松竹など21社が加盟する<br />「プレゼン力強化」をめざす団体がスタート