今や韓国は、「世界一の電子政府・電子自治体」と評されています。韓国の電子政府・電子自治体のどこがすごいのでしょうか。実際に韓国の電子行政サービスは、サービスの消費者たる国民を喜ばせる、感動させるものです。最近、私が体験した例をご紹介しましょう。

「あなたが同時に行うべき手続きが他に七つあります」

 一昨年のことになりますが、韓国に住んでいる弟から、突然電話が掛ってきました。そして、「兄さん、私のところに役所から、兄さんの転出届を早く出さないと住民登録を抹消すると連絡が来ましたよ」と言うのです。

 私は現在、家族4人で日本に住んでいるのですが、韓国には住民登録を残しておく必要があったため、来日する前、弟の家に住民登録を移しておいたのです。

 ところが、弟が引っ越ししてしまい、新しく転入してきた人から、「自分の家の住所に知らない人の住民登録が残っている」と役所に通報があったそうなのです。弟に、「お前が転出する際に、私の分も一緒に移してくれれば良かったのに」と文句を言うと、「世帯主本人でないと移せない」とのこと。

 そこで、私はさっそく国際電話をかけ、役所の担当公務員と話をしました。そして、私は、現在、自分は日本に住んでおり、住民登録の移転手続きのために、すぐに韓国に帰ることはできないことを伝えました。すると、役所の公務員は、「そんなこと言われても困ります。とにかく、早く転出届を出して下さい」の一点張りです。しかも、「明日までに転出届を出さなければ、登録を抹消するしかありませんね」と言うのです。

 私は、「あなたのお話しは分かります。しかし、会社の都合などもあるため、明日までに韓国に戻ることはできません。せめて何日か時間をいただけませんか?」と交渉しました。すると、先方は怒った口調で、「私はわざわざ韓国に戻って手続きをしてくれなんて一言も言っていません。日本で手続きをすればよいではありませんか!」と言います。

 さらに、私が「日本の韓国大使館で、転出届の手続きが出来るということですか?」と尋ねると、「もう、何を言っているのですか! 日本は韓国よりもインターネットが進んでいる国ではないのですか? インターネットを使って電子申請をすれば良いではないですか!」と言われたのです。

 私は、「ありがとうございます! では、すぐにやらせていただきます!」と言って電話を切り、韓国政府が運営している行政のポータルサイトにアクセスしました。

サービスの消費者たる国民を喜ばせ感動させる、国民目線の行政サービス韓国の電子政府総合窓口