“空前の大ブーム”と言われる「小鍋料理」――。なかでも人気を集めているのが、手軽につくれる「湯豆腐」です。豆腐の約90%は「水分」ですから、低カロリー、低脂肪、低糖質なのに、大豆を原料とする栄養価の高い食材。湯豆腐は、ダイエットにも最適なヘルシー料理ですから、人気なのも当然のことでしょう。ただ、湯豆腐はシンプルなだけに、どうしてもワンパターンになりがち。そこで、人気料理家である小田真規子先生に、10分でぽっかぽかになれる絶品レシピの数々を教えていただきました。本連載では、そのなかから選りすぐりの逸品をご紹介します。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 まだ残暑が続きますが、もう間もなく秋。寒い季節が近づいてきました。そして、冷え込んでくると、恋しくなるのが「鍋料理」。身も心も温まる「鍋料理」は、日本人にとって“心のふるさと”のようなものかもしれません。

 ただ、時代は変わりました。かつては、鍋といえば「大鍋」のことでした。家族そろって鍋を囲みながら「寄せ鍋」や「すき焼き」をつつく……といったシーンが、幼い頃の思い出になっている方も多いのではないでしょうか。しかし、それはもはや“昔の話”です。

 この十数年で、個食化が進みました。おひとり世帯も急増し、家族で鍋を囲むシーンは激減しています。夫婦共働きが増えたことで、家族の帰宅時間はバラバラになり、家族がいてもひとりで晩ご飯を食べるのが当たり前のことになりつつあるようです。

 そのような現実を背景に、コンビニでは、ひとり用のカップスープや麺類、スーパーでも、小分けの惣菜や一人前ずつパックされた鍋用の野菜やスープが大人気。もう、家族そろって「大鍋」をつつく時代は終わり、「鍋といえば小鍋」という時代になったのです。

 そこで、私は2016年に『まいにち小鍋』という本を出版しました。
 ひとりの食卓を楽しく彩り、ホッコリ幸せな気持ちになれる「小鍋レシピ」を考案。忙しい現代人の生活に合うように、できるだけ手間のかからない美味しいレシピを一冊にまとめました。

 おかげさまでこれが好評となり、多くのみなさまにご愛用いただき、7万部を超えるヒットとなりました。そして、たくさんのご意見、ご感想が寄せられましたが、なかでも多かったのが、「豆腐を使った小鍋料理をもっと教えてほしい」というご要望でした。

 たしかに、豆腐はきわめてポピュラーな食材で、扱いも簡単。最も手のかからない小鍋レシピは「湯豆腐」と言っても過言ではありません。しかも、豆腐の約90%は水分なので、低カロリー、低脂質、低糖質なのに高タンパクというとても健康的な料理です。しかも、豆腐はそれなりの満腹感を与えてくれますから、ダイエットにも最適。ヘビーユーザーが多いのも当然なのかもしれません。

 ただ、湯豆腐はシンプルなだけに、味付けがワンパターンになりがち。そこでこのたび、「湯豆腐」をはじめとした、温かい豆腐料理を数多くご紹介したら、読者のみなさまの食生活と、健康増進にきっとお役に立つと考え、『まいにち湯豆腐』というレシピ本を9月19日に発売することにしました。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 早速、そのなかから一品を選んで、レシピをご紹介したいと思います。ふわっふわの豆腐団子から旨みがあふれる「豆腐団子と水菜の鍋」です。

 まず、豆腐団子からつくりましょう。
 豆腐団子の材料は次のとおりです。

【豆腐団子】
 木綿豆腐(つぶす):1/3丁(100g)
 鶏ひき肉(もも):100g
 しょうが(みじん切り):1かけ(10g)
 塩:小さじ1/2
 小麦粉:大さじ1

 つくり方は次のとおりです。
 まず、豆腐(1/3丁)をボウルの中に入れてスプーンの背でよくつぶします。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 つぶした豆腐に残りの材料を加えます。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 そのまま粘りが出て糸を引くまで、スプーンでよく混ぜます。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 2本のスプーンで一口大にまとめます。

低カロリー、低脂質、低糖質なのに美味しい!<br />ダイエットにも最適な「最強レシピ」はコレだ!

 一方、小鍋に次の材料を合わせた【スープ】を注ぎ、中火で煮立てておき、そこに一口大にまとめた豆腐団子を入れ、弱火で5〜6分煮ます。豆腐団子を入れたら、いじらずに弱火で煮ると、ふわふわとした食感になります。

そのうえで、半分に切った木綿豆腐(2/3丁)を加え、さらに5〜6分煮ます。仕上げに、ザク切りにした水菜50g(7cm長さに切る)と白すりごま(適宜)を加え、ひと煮すれば完成です。

 豆腐の1/3丁で豆腐団子をつくり、残り3/2丁をそのまま小鍋に加えるので、ちょうど1丁を使い切るかたちになっています。豆腐団子のふわふわ食感はもちろん、崩れた豆腐団子から溶け出す絶妙な「旨み」が楽しめる絶品レシピです。ぜひ、お試しください!

「豆腐団子と水菜の鍋」レシピ

【材料】
 豆腐団子
 木綿豆腐(つぶす):1/3丁(100g)
 鶏ひき肉(もも):100g
 しょうが(みじん切り):1かけ(10g)
 塩:小さじ1/2
 小麦粉:大さじ1
 木綿豆腐(半分に切る):2/3丁(200g)

【スープ】
 しょうゆ:大さじ1
 みりん:大さじ2
 水:2カップ(400cc)

【仕上げ】
 水菜(7cm長さに切る):50g
 白すりごま:適宜

【つくり方】
 1 【スープ】をあわせて中火で煮立て、豆腐団子をスプーンですくってそのまま入れ、弱火で5〜6分煮る。
 2 豆腐を加えさらに5〜6分煮る。
 3 【仕上げ】を加え、ひと煮する。
小田真規子(おだ・まきこ)
料理家・栄養士・フードディレクター。女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経て、有限会社スタジオナッツ(www.studionuts.com)を設立。誰もが作りやすく、健康に配慮した、簡単でおいしい家庭料理をテーマに、『オレンジページ』『ESSE』などの生活雑誌や企業PR誌にオリジナルレシピを発表。家電、食品、調味料メーカーのメニュー開発、国内各地の産地・加工品の商品開発などもサポートしている。分かりやすいレシピが好評で、NHK「きょうの料理」「あさイチ」の料理コーナーに定期出演。『まいにち小鍋』『なんでも小鍋』『おつまみが晩ごはん!』(ダイヤモンド社)、『料理のきほん練習帳』(高橋書店)、『とにかく盛り上がる夜ごはん』(文響社)など著書多数。