ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

伊藤良二氏に聞く 日本企業にとっての投資ファンドの功罪【後編】

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第5回】 2007年12月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

ベンチャーキャピタル・パートナー、外資系コンサルティング会社日本代表、事業会社の経営者などを歴任してきた伊藤良二慶應義塾大学政策・メディア研究科教授に、事業家としての目線から、投資ファンドの功罪についてお聞きしました。今回はその【後編】をお届けします。【前編】はこちら

存在感を増すファンドと
企業はどう付き合うべきか

――シュローダーでベンチャーキャピタル部門に在籍されましたが、ファンドビジネスに転身された経緯はどういうものですか?

 新しい事業を育ててみたいと思ったから。ただ、蓋を開けてみると、ファンドはやはりファンドの投資家のために働かないといけない。投資決定をする時に、ファンドは経営者の決断の軸と同じ軸では決断ができない。持分を売却するときも、投資先にとっては今は売却のタイミングでなくとも、ファンドの投資家のためには今売却しないといけないというタイミングが存在する。そもそも出資時も、経営者は高く株式を買って欲しい一方、ファンドは安く買いたいと思っているので、ファンド対経営者の利害相反は出資時から発生してしまう。その矛盾に答えが出せなかったのでファンドを去ることにした。

――そうすると、経営者はそういうジレンマを認識した上で、うまくファンドと付き合って行かないといけないわけですね。

 そう。ファンドは最初にその事業の成長ではなく、いかにexitできる(持分を売却する)かを考えるものであることを、経営者は認識すべきだ。ファンドの行動基準は数字のみなので、意外と理解しやすい。

 また、ファンドは、大企業にとっては、リストラや子会社を切り離す局面では使いやすいし、身内ではできないこともファンドという大義名分を使えばできることもある。

――では、そういう経営者の方々からファンドの存在意義ってなんでしょう?って聞かれると何と答えますか?

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
保田隆明氏の人気著書「M&A時代 企業価値のホントの考え方」好評発売中!

三角合併が解禁されても、敵対的買収が急増するわけではない。企業が株式市場つきあっていくための、ルールを分かりやすく解説。1680円(税込)

話題の記事

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

経済・金融分野のエバンジェリスト、保田隆明が、キーパーソンへインタビューを通して、海外と国内の投資ファンドの活動とその影響を検証していく。

「投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明」

⇒バックナンバー一覧