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「引きこもり」するオトナたち

激論のはずが親と子のいたわりの場に
「フューチャーセンター」に見る
引きこもり問題解決の可能性

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第115回】

 親と子の気持ちは、なかなか重ならない。親が子どもの本心を知ることは困難だ。そもそも親子で、本心を話し合うことができない「引きこもり」問題は、なかなか根が深い。

 7月8日、東京都中央区の「協働ステーション中央央」(十思スクエア2F)で開かれた「KHJ西東京萌の会」の例会で、そんな「親と子の思いや気遣いはどうしたら重なるか!?」というお題を頂いた筆者は、いつもと違うやり方で引きこもり問題が解決できないかと考えた。そこで、初めて「フューチャーセンター」(FC)と呼ばれる「創造的な対話の空間」を取り入れることにした。

親と子との対話を前に
廃校の教室は重たい空気に包まれ…

 フューチャーセンターとは、未来のステークホルダー(つながりそうな人、利害関係者)が集まり、対等な関係性を構築、対話を通じて社会を変革する取り組みや、そのような空間をいう。元々、北欧で生まれた概念で、日本でも、富士ゼロックスや東京海上日動火災、アサヒビール、コクヨなどの企業を中心に、従来の縦割り組織を越えて取り入れる動きが広がっている。

 例会の場所は、廃校になった古い小学校舎の教室。南側の窓は、吉田松陰ら幕末の志士たちが安政の大獄で処刑された歴史的な由来のある公園にも隣接していて、夏の陽射しが差し込み、緑がいっぱいの気持ちのいい空間だ。

 同日、参加したのは、主に60歳~70歳代の親が約30人、引きこもり当事者や経験者ら若者側が十数人。窓の外の明るさとは裏腹に教室内を覆う重たい空気が気になっていた。

 「みなさんの中に答えがあります。専門家ではなくて、自分たちで何かできるかもしれないという可能性を感じてほしい」

 こう参加者に呼びかけたのは、助っ人として急きょ、ファシリテーターを務めてくれた、大手企業の会社員でFCネットワークメンバーの神垣崇平さん。もう1人の助っ人ファシリテーターで、同じ会社に勤める安藤賢二さんとともに綿密な打ち合わせの上、「フューチャーセッション」を行った。

 初めは、ほとんどの親たちの顔が、硬直したまま。これから対話を始めるというのに、どうなっていくのか、さすがにドキドキする。

 そんな張りつめた空気の中で、神垣さんは、対話する際のアドバイスを進めていく。

 「他の人が話している時は、相槌をうちながら、よく聞いてください。話の途中で無理やり割り込んで話を切らないでください。逆に、他の人も話ができるように、自分の話はできるだけ簡潔にしてください。そうかもしれない、という話には共感してください。そんなことないよ、という話は、否定しないでください。自分と違う考えに、新しいヒントが隠されているかもしれません」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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