日本で「ゲイの街」と言えば東京新宿区の新宿2丁目が有名だ。しかし、“2丁目”と聞いて、どう思うだろうか。多くの人は、そこは未知の世界であり、限られた人のための街というイメージを抱くのではないだろうか。ところが、海外に目を転じれば、「ゲイの街」は日本のそれとはまったく違ったものとなるようだ。流行が生まれ、独特の文化の発祥地となり、何か新しいものが常にある刺激的な場所だ。パリ、ロンドン、マドリッド、ニューヨークの主要レインボータウンがもたらした街やコミュニティの変化をレポートする。(在米ジャーナリスト・津山恵子)

ウォール街の金融マンも集う
ニューヨーク、ウィリアムズバーグ

ニューヨーク、パリ、ロンドン、マドリッド<br />LGBTたちが集うレインボータウン最新レポート<br />そこは子連れ家族も楽しめる流行発信地だった!かつての“貧しい移民の街”の面影はない。今は流行発信地だ
Photo by Keiko Tsuyama

 ニューヨーク・マンハッタン島の東にあるイースト・リバーをはさんで、対岸にあるブルックリン地区ウィリアムズバーグは、ここ数年で急速に再開発が進んだ街だ。日本の旅行会社も、隠れた名所として紹介している。

 住民の年齢は比較的若く、流行にとらわれない、自分に合った独創的なファッションで歩き回る。立ち並ぶブティックやカフェ、レストランも、マンハッタンのような洗練さはないが、ユニークでおしゃれだ。

 マネキン人形の顔が熊のぬいぐるみだったり、薬局のウィンドウにさりげなく、旧式のレジや昔の薬ビンが飾ってあったりする。マンハッタンで幅を利かせるラグジュアリーブランドのショーウィンドウとは違った空気が、そこにはあった。

 ウィリアムズバーグは新たなトレンドを生む街だ。人気のニューアメリカン・カジュアルとして、いまやニューヨーク中に店舗を持つ「ブルックリン・インダストリーズ」や、ニューヨーク市内で醸造した自家製ワインを提供する「ブルックリン・ワイナリー」は、ウィリアムズバーグが発祥の地だ。