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マーケット・アップデイト(2012年7月18日)米国株式市場、不動産株、欧州債務危機 - 広木隆「ストラテジーレポート」

米国株式市場
前回のマーケット・アップデイトでは「日米ともに株式市場は下落が続き、6月初めを底とする短期的な戻り基調がトレンド転換するか危ういところに差し掛かっている」と述べた。NYダウ平均の下値目途は12,500ドル。心理的な節目であることに加え、1)一目均衡表の雲の下限、2) 一目均衡表の基準線、3)200日移動平均線などが12,500ドル近辺に集中し、かなり強力な下値サポートであるとも指摘した。ダウ平均は、指摘したテクニカル的なサポートラインに支えられ切り返し、25日線、75日線も越えて一目均衡表の雲の上に浮上した。なんとか持ちこたえて、トレンドは崩れていない。ハイテクセクターの業績悪化を、金融セクターの「心配したほど悪くない」決算で相殺している印象だ。



米国企業の決算発表については、前四半期もそうだったが、市場の期待が高くない分、「そこそこ」の内容でも、株価はポジティブに反応しやすくなっている。先週末から決算発表を開始した米金融大手は、いまのところアナリスト予想に対して4連勝。JPモルガン、ウエルズ・ファーゴ、シティグループ、ゴールドマン・サックスとすべて減益決算ながら、「予想より悪くなかったこと」が買い材料になって決算発表を受けた株価は上昇した。今日もバンク・オブ・アメリカが決算発表を行う予定だが、これまでの金融株堅調の流れに乗れるか注目される。

一方、ハイテク、特に半導体関連は冴えない。インテルが昨日発表した4-6月期決算は純利益が前年同期比4%減の28億2700万ドルと増収減益となり、2012年12月期通期の売上高見通しも下方修正した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も、4-6月期の売上高は1-3月期比11%減になったもようと発表。従来見込んでいた3%程度の増収から下方修正した。製造装置大手のアプライドマテリアルズも12年10月期通期の売上高と1株利益が予想を下回りそうだと発表した。業績不振を映して株価も低迷している。パソコン大手のヒューレット・パッカードやAMD、アナログ半導体大手のテキサス・インスツルメンツなど年初来安値をつける銘柄が増えている。こうした流れを反映してフィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)は昨日、年初来安値をつけた。



パソコン、半導体の不振は、世界景気の減速というマクロ面の理由が背景だが、マイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」の発売が10月に予定されていることから、買い控えや在庫圧縮の動きも相当程度、影響していると見られている。「ウィンドウズ8」発売が近づくにつれてハイテク株が出直る機会もあるのではないかと見ている。

不動産株
欧州不安はここのところ若干後退し影を潜めているが、その代わり、米国をはじめとする世界景気の減速懸念が頭をもたげ市場の重石となっている。こうした外部環境に不透明要因が多い状況下では、物色の矛先が内需・ディフェンシブに向かうのも無理はない。そのなかにあって不動産株のパフォーマンスの良さが際立っている。日経平均はほぼ年初の水準にとどまっているが、不動産株価指数(東証33業種分類)の年初来リターンは約30%に達する。業種別上昇率2位の証券・商品先物取引業の値上がり率(14%)に倍以上の差をつけて断トツのトップだ。



この背景のひとつには、地価に下げ止まりの兆しが見られ、投資マネーが不動産市場に回帰していることが挙げられる。J-REITのファイナンス状況を見ると年初から足元までのところで2400億円以上のエクイティ調達がなされており、既に昨年1年間の実績額を超えている。J-REITのほかにも私募のファンド設定が外資系も含めて増加しており、不動産ファンド全般に資金が流入しやすい環境になっている。ファンドへの資金流入を受けて実物投資も動き出している。千代田区内幸町の新生銀行旧本店ビルをめぐる入札でケネディクスが約510億円で応札。同社は優先交渉権を獲得し、正式契約に向けて売り主と協議に入る見通しと報じられている。日本ビルファンド投資法人は汐留のオフィスビル、コモディオ汐留を 288 億円で取得した。2012 年上半期に J-REITが取得した資産は総額 4,629億円。これは前年同期比、約5割増で2009年以降の最高額。不動産ファンドに金が集まり、取引が増えている。



こうした動きに加えて、消費税増税をにらんだ住宅取得の駆け込み需要でマンション販売も好調さが当面持続する見通しだ。過去最低水準にある住宅ローン金利も追い風になる。先日の日経新聞によればモデルルームの来場者数も増加しているという。記事によれば、土地総合研究所が150の不動産会社にモデルルーム来場者数を聞いたところ「増えた」との回答から「減った」を差し引いた比率は4月に51.7%と調査を始めた2001年以降で最高になった。野村不動産の分譲マンション「プラウド」には5月の大型連休中に首都圏の来場者が前年より6割以上増えたという。不動産経済研究所が本日発表した首都圏のマンション市場動向調査によれば、契約率は好不調の分かれ目とされる70%を10カ月連続で上回った。

不動産会社の事業環境は投資面、販売面でも好転しており、それが株価のパフォーマンスにも反映されている。

欧州債務懸念の後退
前項の冒頭で、「欧州不安はここのところ若干後退し影を潜めている」と述べたが、事実、市況解説などで「欧州債務危機」という言葉を見かけることは少なくなった。欧州不安の後退を示す象徴が、先週末に行われたイタリア国債の入札結果だ。イタリア政府は13日、3年債の入札を実施したが、落札平均利回りは4.65%と、6月中旬に実施した前回の入札の5.3%よりも低下(価格は上昇)した。実はこの入札の前日に格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、イタリア国債の格付けを2段階引き下げており、入札への影響が懸念されていたが、蓋を開けてみれば格下げの影響はなく、順調に消化されたのだった。

背景は先日のECB理事会の金融政策だろう。筆者は、先日の「マーケット・アップデイト(2012年7月6日)」で「世界の中央銀行が一丸となって金融緩和に動いていることを過小評価しているように思われる」と述べて、ECBが0.25%の利下げだけでなく、銀行がECBに資金を預け入れる際の預金ファシリティー金利も0.25%引き下げて0%にするゼロ金利政策を導入した点を強調した。「銀行がECBにお金を置いておくインセンティブがなくなるため、市中に資金が回る可能性がある」と、半ば自明のことを書いた。

預金ファシリティー金利の撤廃は11日から実施された。果たして、預金ファシリティーから巨額の資金が流出した。2月末に実施されたLTRO(3年物資金供給オペ)第2弾を受けて、やはり巨額の資金が預金ファシリティーに流入、残高は一気に8,000億ドルを超えたが、11日からのわずか4営業日で残高は3,868億ユーロとおよそ半分以下の水準に急減した。引き出されたユーロがどこに向かうかは定かではないが、その一部が南欧の国債購入に向かってもまったく不思議ではない。



米国=欧州=日本の不動産

今回のレポートは一見、何のつながりもない日米欧の市況解説の体裁をとりながらも、じつは底流に通じるひとつのポイントを指摘する。それはさきほども再度、引用した「マーケット・アップデイト(2012年7月6日)」での主張である。

「市場は、世界の中央銀行が一丸となって金融緩和に動いていることを過小評価しているように思われる」

昨日、米国ではバーナンキFRB議長の議会証言があった。ダウ平均は買い先行で始まったものの、上院での証言を前に発表された発言内容の草稿が伝わると、内容が従来通りで新味に欠けると市場は失望、ダウ平均は下げに転じた。しかし、証言後の質疑応答で、追加的な緩和手段について、住宅ローン担保証券(MBS)を含む追加の資産購入や超過準備の付利引き下げ、今後の政策をめぐるコミュニケーション方法の変更を挙げたことなどから今後のFRBの金融政策に対する期待が高まり、ダウ平均は下げを取り戻したが、それでも議長の発言を積極的に評価する声は少ない。例えば、超過準備の付利引き下げについて実行される可能性は低いと市場は考えているようだが、オプションのひとつと言及したことの意味は小さくないし、もしも実行された場合は多大な流動性が市場に供給されることになる。

日本銀行の白川方明総裁は12日午後、金融政策決定会合後の定例記者会見で、ECBが預金ファシリティー金利をゼロ%に引き下げたことに関連し、日銀としては当座預金の超過準備に対する0.1%の付利金利を引き下げることは考えていないと一蹴した。しかし、その一方で、長期国債買い入れ(輪番オペ)の残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃した。具体的には正の金利を入力することになっていたものを、短期国債や1年以下について、「正、負、ゼロのいずれかの値」を入力することに変更。仮に日銀がマイナス金利でも購入すれば初めてのこととなる。同オペではこれまで日銀が買い入れる際に利回りが0.1%を下回る場合は対象外としていた。これは同オペでの応札額が予定額に届かない「札割れ」を回避する対応策だ。

日銀は札割れ対策として固定金利方式の共通担保オペを5兆円減額し、代わりに短期国債の買い入れを5兆円増額した。これについて総裁は「日銀は資産買い入れ等基金を今年末には65兆円、来年6月末には70兆円を達成すると申し上げており、毎月毎月、金融緩和を強化している」と指摘。同日の決定はこれを「着実に行っていくための措置だ」と説明した。

つまり日銀はオペの金額を確実に担保するために下限金利を撤廃したのであって、ECBが行った付利撤廃とは意図がまったく異なる。日銀の思想(あるいは哲学?)からしても付利撤廃はありえないだろう。しかし、である。オペの下限金利撤廃は「技術的に」マイナス金利の発生を許容する。日銀がそれを意図せずしても、なんらかの拍子で . 例えば欧州勢からの資金流入、あるいはそれを演出しようとする投機的な動きの強まりなどで . マイナス金利がついてしまうことは可能性としてないことはないだろう。

欧州ではECBが預金ファシリティー金利を撤廃し、市中の銀行が中央銀行に積んでいた預金が流出した。米国では(実現の可否は別として)FRB議長が超過準備の付利引き下げに言及した。日本では日銀が輪番オペで(たとえ技術的な表面的な意味であっても)マイナス金利も容認する姿勢を見せている。

国債も買えない、中央銀行にも預けられない、となったら金融機関の資金はどこに向かうのか?そのひとつの答えが不動産市場であるというのが筆者の考えである。詳しくは4月26日付レポート「渋谷ヒカリエと日銀の金融緩和」を参照して欲しい。ちなみに日本の不動産株のパフォーマンスは群を抜いて高いが、不動産株のリターンが高いのは世界共通のことである。米国でも欧州でも不動産株のパフォーマンスは良好である。中央銀行が極端な緩和を行い、歴史的な低金利にあるのは世界共通だからである。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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