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イケテルカノジョ養成講座

私はたぬきのお父さん(中編)

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第13回・中編】 2012年7月20日
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 承前――、我が家には、もしかしたら霊的な何かがいるらしい。というところまで書いて前編を終えた。

 家内が言うには、窓の外から何者かがこちらを覗いていた、とのことなのである。本来なら怖がるべきなのだろうが、わたくし的には、その、室内を覗いていたのがユ~レイだったらいいなー。なんて思っていた。

 そのむかし、ときどきテレビにも出演し、霊媒師などという実にいかがわしい肩書きを持った方にお会いしたとき、三年前に他界した母はいまどこにいるのでしょうか。ろくな母親じゃなかったら地獄に落ちてませんかね。

 と真顔で訊いたところ、一瞬瞑目し、軽く一分ほど私を待たせた後。大丈夫ですよ、あなたのお母さまは天国にいらして、あなたをちゃんと見守ってくださってますよ。

 と、したり顔で返されたときには、取材を終えたあとで大爆笑したものだった。思わず実家の母親に電話しようかと思ったほどです。お袋、いま天国にいるらしいな、とか何とか。

 というくらい、私は霊能者だの幽霊というものを信じていない。

 という話を別の霊能者なる人物に話したら、それはあなたが“霊体質”ではないからだと言われ、呆れたこともある。何なのかしら、霊体質って。霊のアレルギー体質とか、霊の下戸みたいなものでしょうか。だから見えないんですって。ものすごく損をしたような気分です。

 こんな性格だから、幽霊さんの恨みを買って“恨めしや”なんてことがあるのではないかと期待もしていたのだけど、何故か、まったく、どーいうわけか、私を懲らしめようという幽霊さんはいないらしい。

 だものだから、私は、一度でいいからユ~レイというものに会ってみたいと思っていたのだ。そこに、家内が何かを見た、である。どこ、とツッコまないよーに。

 私は興奮のあまり夜も眠れないくらいで、しかし、待てど暮らせどその霊的な何かが現れる気配はない。家内に悪趣味と言われながら、雰囲気を出すためにロウソクに火をつけて待ち構えたりもしたのだが、どうやら我が家のユ~レイさんはたいへんな恥ずかしがり屋らしい。

 でも、幽霊にかぎらず、人間でもいますね。ツイッターやブログなどではとても偉ッそうなことを宣っておられるのに、批判した本人が目の前に現れたりマイクを向けられるとしどろもどろになる人。そーいう方は、匿名のときだけ強気なんですね。

 私を批判している人も、いざ会ってみると、とても“いい子”だったりしますよ。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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きみは優秀なビジネスマンだ。周囲の信頼は厚く、友だちも多い。そして仲間にも頼られる。が、しかし……、恋人だけがいない。あなたはとても魅力的な女性だ。仕事も頑張って、自分磨きも怠らない。男友だちだってたくさんいるのに……、何故か恋人ができない。いつも元気で、前向きで、どんなことにも興味を持って挑戦する勇気があるのに、恋にだけは臆してしまう。そして、自信をなくしたて落ち込んだり。そんな男女がたくさんいる。イケテルカノジョを恋人にしよう。イケテルカノジョになって、素敵な恋をしよう。ノンフィクションライター降旗学が送る恋愛下手な人たちへの応援コラム。

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