音を立てて崩れた米国トヨタの成長神話。収益の大きな柱だった高級車ブランド「レクサス」も、金融危機の猛威には抗えず、最近は不振を極めている。しかし、今年は、ハイブリッド専用車など大型商品を相次ぎ投入し、攻勢に転じる構えだ。トヨタ米国販売でレクサス部門を率いるマーク・テンプリン副社長に、立て直しの秘策を聞いた。

米国トヨタ販売首脳インタビュー<br />「レクサスに電気自動車があってもよい」
1月の北米モーターショーで「HS250h」を発表するトヨタ米国販売レクサス部門のトップ、マーク・テンプリン副社長。Photo(c) AP images

―大衆車市場もさることながら、高級車市場の不振も深刻だ。この状況をどう捉えているか。

 世界的な景気減速から無縁でいられるなどとは、われわれもむろん想定していなかった。とはいえ、大衆車市場と同程度の勢いで落ちている事実は重く受け止めている。

―今後の見通しは?

 経済が回復局面に入りさえすれば、さほど悲観する必要はない。高級車セグメントの米国新車市場に占める割合は11%程度。成長の“のりしろ”はむしろ大きいからだ。次のフェーズに移行するに従って、成長力は増し、結果として総需要に占める割合は大きくなっていくはずだ。

―次のフェーズとは何か。

 たとえば、今年、われわれレクサス部門が投入する「HS250h」がその一つの方向性を示していると思う。

 レクサスのラインナップでは、「IS250」と「ES」(海外専売のミドルサイズセダン)の中間に位置するこのエントリー高級セダンは、レクサス初のハイブリッド専用車だ。レクサスにはこのほかに、「LS」「GS」「RX」の中に、それぞれハイブリッド搭載タイプがあるが、それらはいずれもベースモデルに対して(燃費向上に配慮しつつも、モーターを組み合わせることで)より大きなパワーと動力性能を引き出すことに焦点を当てている。しかし、「HS250h」は、明確にパワーよりも燃費を優先している。

 最終的な確定値はまだ固まっていないが、1ガロン当たり35マイル(56キロメートル)近辺の燃費性能を実現できる見通しだ。これは、マイクロカーの草分け的存在である「スマート」(ダイムラー傘下のブランド)よりも優れた数字だ。