多彩な教授陣の顔触れ
民間企業や当局の実務経験者も多数

 MIPでは、幅広い産業分野の現場で働く院生が学んでいる。弁理士・弁護士などの専門職業人のほか、知財や法務を担当する社会人もいれば、営業や総務といった部門で働く社会人もいる。一方、学部卒業後すぐに入学する院生も多く、学ぶ側の多様性もMIPの特長だ。

 MIP修了後の道筋としては、学部からMIPで学んだ卒業生は大企業の知財や法務といった部門に進むケースが多い。一方の社会人はさまざまだ。例えば、MIPで知財戦略の立案能力を磨きマネジメントを目指す。あるいは、知財のプロフェッショナルとしてスキルを深掘りする。現在の業務から知財関係部門への転身を目指す卒業生もいる。

 教授陣の顔触れも多彩だ。アカデミズムで実績を積んだ教員だけでなく、民間企業や関係当局の出身者も少なくない。鈴木氏の場合は、キヤノンの知財法務本部を経て特許庁で制度改正や特許・意匠の審査などにも携わった経験を持っている。

「MIPには最近まで実務の現場にいたという専門家が多い。だからこそ伝えられるニュアンスのようなものがあります。例えば、私は特許庁で法案づくりを担当したこともあります。講義ではその経験を生かして『なぜこの条文の、ここに読点があるのか』といった話をすることもあります」MIPは条文・判決文の行間やライセンス交渉のテクニックなど、教科書には載っていないノウハウ、文字では伝えられないニュアンスを学べる場でもある。

 都心の飯田橋駅に近いアクセスのよさは、特に社会人にとって重要だろう。仕事が終わってからの平日18時30分から始まる夜間2コマと土曜日の授業で、卒業に必要な単位を取得することができる。「社会人と議論したい」という理由で、夜間の授業を選択する学部卒の学生もいるという。