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7月19日 18時0分
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働けない若者を救うには - 村上尚己「エコノミックレポート」

・現在日経新聞で、「働けない 若者の危機」という特集記事が連載されている。経済停滞の悪影響が最も及ぶのは、どこの国も新卒など若者の労働市場である。日本経済の稀に見る長期停滞が、若年世代の雇用問題をもたらすのは必然である。

・記事では様々な観点から、若年世代の労働問題を取り上げている。若年世代における失業率の高止まり、非正規雇用の増大、そして将来に対する若者の諦念の強まり、などが具体的事象としてあげられている。

・この中で、中高年世代の雇用と高い賃金が守られる代償として、若年世代の雇用(賃金)が犠牲を強いられる構図が頻繁に強調されている。伝統的な年功序列が厳然と残る日本のサラリーマン社会に身を置く人は、そうした現実に直面することは多いだろうから、分かり易い。筆者も、そうした経験があるので正直共感する部分もある。

・ただ、こうした観点で若者の雇用問題の解決策を考えるのは建設的だろうか?この視点だと、日本的雇用慣行に守られた中高年者と「椅子を奪い合う」構図で、若年世代が負けていることが問題になる。だから、それをもたらす日本的雇用慣行の変革などを通じて、中高年世代が雇用機会を後輩に譲ることを進め、それではじめて若者は苦境を脱することになる。

・こう考えると、日経新聞が解説するように、「それぞれの立場で痛みを受け入れつつ成長を目指すしかない」と、いかにも日本人受けしそうな「譲り合い」で事態改善を目指すことになる。ただ、譲り合いの精神は大事だが、こうした精神論は若者の雇用問題を抜本的に改善するとは思われない。

・結局、若者の雇用問題は、十分な雇用機会が長期間提供されていないため起きているからだ。経済学の世界では、GDPと失業率の間の「オークンの法則」という強い負の関係が知られているが、日本の経済成長率が十分でないから雇用不足が蔓延しているのである。経済成長率を高めることが、シンプルな雇用問題の答えである。

・日本において、どの程度の経済成長が必要で目指すべきかには、色々な見方がある。ただ、日本はデフレという稀な状況であるため、それを深く考える必要はない。幅広く認められるフィリップスカーブで表される、失業率とインフレ率の負の関係をみれば、通常の国の様にインフレ率がプラスに転じれば、失業率が下がる余地が大きいことは明確である(グラフ参照)。


・つまり、脱デフレが実現すれば、効果が定かではない制度改革が実現するかどうかに関わらず、経済の正常化に伴い、企業は人材を確保する為に、減らし続けている正規雇用を自然に増やすようになる。

・若者の雇用問題の解決には、「世代間の譲り合い」という精神論に訴えたり、「年功序列制など雇用制度の欠陥」を槍玉に上げることは、期待薄である。デフレと低成長という根源の問題が放置されたままでは、むしろ、本来必要ない世代間の「いがみ合い」を助長するだけだろう。こうした意味でも、デフレ放置策の害悪は本当に大きい。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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