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高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

不満渦巻く人事評価改善の方策
連携せよ!左脳的評価と右脳的評価

高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]
【第4回】 2012年7月23日
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人事評価で会社がわかる

 あなたは1日に、何回鏡を見ますか? シンプル・スキンケア社の調査では、女性は平均で1日8回鏡を見るという。多い人は、1日に20回も30回も鏡をのぞく。そういえば、最近、ケータイを見ながら化粧直しをする若い女性を見かけるようになった。

 女性は鏡を見てうっとりするのが好きだからと、早合点するのは禁物だ。この調査では、驚くべきことに、75パーセントの女性が「鏡を見るのが嫌い」であり、さらに、39パーセントが「鏡を見て自信を失う」という。

 男性についてはどうだろうか? データがないのでなんとも言えないが、だれでも毎朝1回くらいは、鏡を見るものだろう。ファッションとしてのヒゲではなく、ヒゲの剃り残しが目立つ中高年もいるから、一度も鏡を見ない強者もいるかもしれない。

 鏡といってまず思い浮かぶのが、グリム童話の『白雪姫』だろう。「鏡よ、鏡。この世で一番美しいのはだれ?」

 『白雪姫』に出てくる魔法の鏡は、王妃にありのままを伝える、正直で、まったく融通の利かない美の評価者である。自分がだれよりも美しいと信じている王妃にとっては、それが真実であっても、自分の期待に沿わない結果を、正直にストレートに伝えられるのは、相当傷つくものだ。

 企業のための「自分を映す鏡」。たとえていえば、それが人事評価である。わが社ではどのような人材が大切にされ、どのような行動をよしとするのか。それをもっともわかりやすく従業員に示しているのが、人事評価なのだ。だから、評価の仕組みを見れば組織のことが見えてくる。

 新聞社や情報会社が、人事評価のシステムに焦点をあてて、優良企業のランキングをしてくれれば、「働きやすい会社」(日本経済新聞社)や「働きがいのある会社」(Great Place to Work Institute)よりも、企業の価値観や行動指針の実態に即したランキングができるだろう。また、毎年の査定の時期に、あらためて自社の評価システムをよく眺めてみれば、パンフレットや雑誌記事には表れない本来の会社の姿が見えてくる。

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高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1984年慶應義塾大学文学部卒業、1996年米国ミネソタ大学(University of Minnesota)経営大学院博士課程修了(Ph.D.)。南山大学総合政策学部助教授などを経て、現在,神戸大学大学院経営学研究科教授。専門は産業心理学と組織行動論。経営と人事管理に関連した事象を心理学的なアプローチから研究している。主な著書に『〈先取り志向〉の組織心理学―プロアクティブ行動と組織』(有斐閣・分担執筆)、『人事評価の総合科学―努力と能力と行動の評価』(白桃書房)、『Jリーグの行動科学―リーダーシップとキャリアのための教訓』(白桃書房 編著)など。


高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

日本企業の人事制度・人事施策を別の視点から考え直す。それが本連載の目的だ。これまで、長期の雇用と年齢にともなった処遇を旨としてきた日本の組織。それが、グローバル時代に通用しなくなってきた。たとえば、新規学卒者の一括採用、年次によるキャリア管理、処遇に直結しない人事評価、OJT偏重の人材育成、遅い昇進と幅広い異動など。これを象徴的に「ガラパゴス人事」と呼んでみよう。日本の組織で特有に生まれた人事の仕組みについて、ミクロの視点から鋭く切り込んでいく。また、グローバル展開を目指す組織にとって、現状の問題点をあぶりだす目と、変革のための示唆を与えていく。

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