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7月20日 18時0分
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マーケット・アップデイト(2012年7月20日)「低い期待が生むポジティブ・サプライズ」 - 広木隆「ストラテジーレポート」

これまでのところ米国企業の決算発表は市場の予想を上回る結果が多い(表1)。但し、それは米国企業の業績が良いということではない。「思ったほど悪くない」という理由で株価が好反応を示している。典型は金融セクターで、大手銀行のうちJPモルガン・チェース、シティグループ、ゴールドマン・サックスの3社は減益である。



一昨日に大幅高になったインテルだって「好決算」とは言い難い。純利益は28億2700万ドルと、前年同期に比べ4%減った。12年12月期の売上高見通しを従来予想から下方修正した。4〜6月期の売上高は市場予想に届かず、4月中旬にインテルが示した見通しの中心値にも及ばなかった。それでも株価が上昇したのは「思ったほど落ち込んでいなかった」からである。

昨日の米国株式市場の主役はIBMだった。ダウ平均構成銘柄のなかで上昇率トップとなる3.8%の急騰を演じたが、IBMの決算もまた手放しで喜ぶほどのものではない。純利益は前年同期比6%増益で12年12月期の特別項目を除く1株利益も上方修正したが、売上高は257億8300万ドルと3%減り、市場予想にも届かなかった。

フラッシュメモリーなどの半導体大手サンディスクが昨日引け後に発表した年4〜6月期決算は、純利益が1296万ドルと前年同期から大幅に減少した。売上高は10億3225万ドルと前年同期比25%の減収だ。主力のフラッシュメモリーなど製品の販売が大幅に落ち込んだ。それでもサンディスクの株価は引け後の時間外取引で大幅高になっている。本業が落ち込んで大幅な減収減益でも株価は急伸。なぜなら「思ったほど悪くなかった」からである。

日本でもこれから決算発表が本格化してくるが、米国市場と同じようなことが起きるのではないかと思う。市場では今回の決算発表で業績の下ぶれに対する警戒感が強い。欧州債務不安の影響や米国・中国を中心とした世界景気の減速懸念が背景だ。

しかし、企業の景況感はそれほど悪化していないことは今月初めに出た6月の日銀短観で明らかになった。昨日発表された7月のQUICK短観でも製造業DIは昨年11月以来の水準まで上昇している。足元でも企業の景況感は悪化していない(グラフ1)。



一方、アナリストによる業績の下方修正はずっと続いている。グラフ2はTOPIX500採用企業の予想経常利益の合計である(Quickコンセンサス)。グラフ3はIFISジャパンが集計しているデータを基にしたリビジョン・インデックス。一旦は下方修正も一巡したように見られたが、決算発表前のプレビュー期間で下方修正が進んだらしく、リビジョン・インデックスは再度下方に転じている。そもそも目盛を見てお分かりのように、この間のリビジョンはずっとマイナス圏、つまり下方修正のほうが優勢であった。





このように市場の見方と企業の景況感にギャップがあるときは、いわゆる「サプライズ」というのが出やすくなる。その典型が昨日の安川電機。主力のモーションコントロール事業での受注回復を理由に、上期の営業利益予想を従来比5割増の45億円に上方修正した。まさに蓋を開けてみたら思ったほど悪くなかったいう典型的なポジティブ・サプライズ。株価は年初来安値まで売り込まれていただけに一気に買い戻しが入って8%を超える急伸となった。

市場の目線が下がっているだけに、「そこそこ」の決算内容でもサプライズが生まれやすい。今回の決算発表シーズンではダウンサイドは織り込まれているだけに、むしろアップサイド・リスク(それをリスクと呼ぶかどうかは、また別途議論したい)を気にするべきではないかと思う。

市場がダウンサイド・リスクを織り込んだ場合にポジティブ・サプライズに大きく反応する例としてはこちらのコラムも参考にしてほしい。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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