OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。

「直観が最強」と言われ始めた理由Photo: Adobe Stock

意思決定はしない、という選択

OODAループの「みる」(Observe)、「わかる」(Orient)に続くプロセスは「きめる」(Decide)です。どんな行動をとるのか(あるいは何もしないのか)を判断します。

私たちは毎日、膨大な数の判断を下しています。目的地に時間どおりに着くためにどんな経路を選ぶか。ランチに何を食べるか。日時が重なりそうな予定のうちどれを優先するか……。

これらの判断にあたって、自分は複数の選択肢から最良の結果が得られそうなものを選んでいる。もし、あなたがそう考えているとしたら、それは間違いです。

たいていの場合は、たいした根拠もなしに、そのときの気分で何となく判断しているはずです。

いえ、けっして批判しているわけではありません。それでいいのです。いちいち意思決定などしていたらどんなに時間があっても足りないし、本当に大事なことに使うエネルギーが浪費されてしまうからです。

ちなみに意思決定とは一般的に、複数の選択肢を並べて比較し、その中から最善の答えを見つけ出す分析的方法を指します。日本のビジネスの主流スタイルはこちらです。

その結果、いつまでも決められずに、やるべきことがやり切れない。私自身、そんな組織をいくつも見てきました。

速いことが価値を生む今の時代、基本的に意思決定は行わず、可能な限り直観をもとに判断する必要があります。これこそがOODAループにおける「きめる」の基本です。