株式レポート
7月30日 18時0分
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デジャブ(既視感)?〜月末に再び高まる政策期待〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週末(7月27日)の米国株市場は、2営業日連続で大幅高となり、5月初旬以来の水準まで一挙に戻した。7月27日レポートでお伝えしたが、ECBドラギ総裁がこれまで躊躇していたスペインなどの国債購入を示唆する発言が好感された、先週末にこれを裏付ける報道で市場のリスクオンモードがさらに強まったためである。

・先週末に市場が特に反応したのが、「ECBドラギ総裁が、ドイツ連銀のバイトマン総裁と、債券購入を含む新たな対応について協議する」というブルームバーグ通信の報道である(グラフ参照)。ECBによる幅広い国債買取に慎重なドイツが妥協する、との思惑である。これで米国株式市場の上げ幅が拡大し、安全資産の代表である米10年金利も1.6%近くまで大きく上昇した。


・米10年国債が1.6%近くまで売られたのは、7月初め以来である(グラフ参照)。この時も、6月末のEU首脳会合でESM(欧州安定メカニズム)による銀行への資本注入策などに、ドイツのメルケル首相が妥協したとの思惑から、政策期待で明るいムードが一時広がった。再び月末のタイミングで、欧州当局の政策に市場の期待が高まったわけで、1ヶ月前のデジャブ(既視感)を思わせる展開である。


1ヶ月前のレポート(7月2日)では、「米ISMや雇用統計の大幅改善など、世界経済下振れへの警戒払拭が必要」「スペイン国債金利の一段の低下を確認しながら、リスク資産への投資に踏み切っても遅くない」と結論した。この後「欧州の政策への期待」と「景気減速懸念」が交錯し、米国の株高は続かなかった。基本的に、1ヶ月と同じスタンスでよいと考えている。

・まずは、米国を中心に経済指標の減速に、歯止めがかかる可能性が低い。7月も米国の経済指標停滞が株高の頭を抑えたが、今週同様に発表される主要な米国の経済指標も、同様に主要経済指標は低調に推移すると予想される(グラフ参照)。


・一方欧州当局の対応について、1ヶ月前から前進した点は、ECBがスペインなどの国債購入に動き始めていることである。無制限に流動性を供与できる中央銀行(ECB)が決断すれば、重債務国の金利は低下し、欧州債務問題の悪循環が一旦は収束するシナリオにも期待できないとは言い切れない(7月27日レポート)。

・ただ1ヶ月前もそうだったが、問題は、スペイン国債などの金利を低下させるために十分な規模の対応が実現するかどうかである。早期稼動が期待されたESM発足が遅れているなど、自国の財政負担を最小限に止めようとするドイツが妥協するか否かは、蓋を開けるまで何とも言えない。

・ここから米国株が上値を追うには、「経済指標悪化に歯止め」「8月2日理事会後のECBの対応でスペインなどの金利低下」の双方が揃う必要があるだろう。「デジャブ」が、現実となるリスクは無視できない。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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