近年、ビジネスのキーワードとしてとりわけ注目を集めるAIやIoT、ビッグデータ。そのキーマンとなるプロフェッショナル人材の報酬が高騰している。新卒でも年収1000万円、より専門性の高い人材なら年収3000万円を超えるという。(取材・文/嶺 竜一)

 2019年10月からNECは研究職を対象に、新卒でも年収1000万円に達する可能性がある給与制度を導入――。

 日本の人事制度の特徴である年功序列賃金の制度を作ってきた大企業が、欧米並みの完全実力主義の制度を導入するというニュースに、技術系の就活市場に衝撃が走った。

 新卒を好待遇で採用するのはNECだけではない。下表にあるように、ソニー730万円、ディー・エヌ・エー600万~1000万円、くら寿司1000万円など、一般の新卒社員の年収の2倍近くから3倍という別枠の人事制度を用意している。

 

 対象となるのは主に、人工知能(AI)やデータサイエンスなどの技術系の大学院生だ。世の中のさまざまなビジネスがインターネットと結びついてIoT化し、ビッグデータの重要性が増す中、専門知識を持った人材へのニーズが一気に高まっている。ところがそうした人材を育成できる大学が足りていないため、極度の人材不足、究極の売り手市場となっているのである。

 グラフで示したように、先端IT人材は20年に5万人近く不足するという推計もある。