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データサイエンティストの冒険

【新連載】アナリティクスとの出会い――知る力、予見の力がもたらす新たな世界

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第1回】 2012年8月6日
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断片的なデータで「なんとなく」判断
そんな統計分析が通用していた時代はとうに過ぎ去った

 近年、「アナリティクス(予見力)」という言葉が、経営のキーワードになりつつある。見える化・可視化をさらに一歩踏み込んだ、データの高度な活用から次の打ち手をも見出す力と定義できるだろう。

 筆者は経営コンサルタントとして、90年代後半から、企業経営者の皆さんへ統計情報を活用した客観的な提言を行ってきた。産業連関表などの公開データを用いた顧客セグメンテーションや、商材を分析したターゲティングモデルなどは、経営コンサルタントが得意としてきた分析である。しかしそこでは、例えばベイズ統計によるマルコフ連鎖モンテカルロシュミレーションのような複雑なコンピューティングの処理モデルはおろか、古典的統計学に基づいた有意性検定処理すら想定されていない。

 在庫適正化や需要予測、はたまた与信管理上のリスクスコアモデルについても、断片的なデータで「なんとなく」判断している。重回帰だ、相関分析だなどとそれらしく言ってはいても、検定やモデル評価手法を挟むことなく、ガラポンで出てきた見栄えの良い分析結果を、補正なく配信していれば許容されていた。

 しかし、そうした時代は過ぎさった。もはや地頭のいい経営コンサルタントがエクセルで「ちょこっと」断面的な分析をして、パワーポイントの報告資料で「格好いい絵」を描いても、複雑な事象を読み解くことは到底不可能な時代が到来している。

 ここにおいてテクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスの決定的な優位性、違いは明らかであり、企業経営において、テクノロジーと多変量解析技術を連携できるデータサイエンティストや、解析モデラーの必要性が増している。

アナリティクスとの出会いは
著名な医療IT政策制度設計者からの1本の電話

 筆者がアナリティクスという言葉を初めて耳にしたのは、実は企業経営者の口からではなく、2006年当時、所属していた米国政府の上司からであった。ニューヨーク市のブルームバーグ市長の右腕と言われた公共医療政策局長官のDr. Thomas Frieden(現米国厚生省疾病管理・予防センター (CDC)長官:以下Tom)と同副長官のDr. Farzad Mostashari(現在はオバマ大統領の医療IT政策オフィス局長:以下Farzad)の二人の偉大な恩師からである。二人とも2009年のオバマ大統領の就任とともに彼の政権に引き抜かれてしまった。

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工藤卓哉[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence 北米地域統括 兼
アクセンチュア アナリティクス日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年4月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年、テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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