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イケテルカノジョ養成講座

私のかわいい仔猫ちゃん

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第14回】 2012年8月3日
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 女が言う。今夜は帰りたくないわ。男がそれに応える。ごめんよ、最近、子ネコを飼い始めたんだ。早く帰ってエサをあげないと。そう言って、組んだ腕を解いてタクシーに乗り込んだ。走り去るテールランプを見やりながら、女は悪態をつく。そうでしょうとも、さぞかし可愛らしい子ネコちゃんが待ってるんでしょうね――、バブルの頃までは、小説でも、テレビドラマでも、こんなシチュエーションがよく使われていた。
 

 地震が原因なのか、それとも造りが安普請だからか、家の外壁に罅が入った。
  どうしようかしら。と家内。このままでいいんじゃないか。と私。

 が、お隣さんの大邸宅と並んで建つと、ただでさえ我が家はみすぼらしく見えるというのに、そのうえ壁に罅が入ったまんまとあっては余計に虚しいものがあるので、見栄を張るために外装工事を施すことにした。

 ついでに、気持ちだけでも隣家にお住まいの作家大センセイに近づこうと思い、白亜の大豪邸を模して、壁の色も似たような白に塗り替えることにした。見た目ばっかり真似したってダメなんだけどね。

 家の周りに、櫓のような足場が組まれる。その足場がブルーシートで囲まれる。

 すると、環境が変わって警戒したのか、工事が着工したその日から数日、狸さんが姿を見せなくなった。台風の影響もあって、風の強い日にシートの紐がほどけていると、鉄パイプにシートの金具が当たってカンカンと音を立てたりする。

 おそらく、そういった音や、いつもご飯を食べるところがブルーシートに覆われたので、狸さんも戸惑っていたのだろうと思う。狸の話は終わったんじゃないのかい、とツッコまれそうですが、今回は、前回の“延長戦”がこの本編に続くというスタイルを採用しております。

 「う~む、なかなか狸さんが来んな。工事が終わるまでは無理か」

 腹を空かせてなきゃいいが――、と心配になるので、狸さんのご飯は毎晩用意していたのだが、やっぱり食べに来ない。狸さんの来ない夜は原稿を書く気にもなれない私。いつものことだろう、と今度こそツッコまれそうです。

 牛乳を浸した食パンは翌朝にはダメになるので、非常用のドッグフードを出していたら、夜中にぱくぱくと頬ばる音がする。狸さんは犬科なのです。

 お、ようやく来たか――、と近づくと、それはスーッと音を立てて逃げて行く。
  逃げ足の早さは狸さんの比ではなく、どうやら野良猫のようだった。

 私の住む街には野良猫が多く、野良猫は我が家の庭にも入り込み、家の柵や塀の上をひっきりなしに行き来する。いずれも首輪をしていないから、おそらくは野良猫なのだろう。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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きみは優秀なビジネスマンだ。周囲の信頼は厚く、友だちも多い。そして仲間にも頼られる。が、しかし……、恋人だけがいない。あなたはとても魅力的な女性だ。仕事も頑張って、自分磨きも怠らない。男友だちだってたくさんいるのに……、何故か恋人ができない。いつも元気で、前向きで、どんなことにも興味を持って挑戦する勇気があるのに、恋にだけは臆してしまう。そして、自信をなくしたて落ち込んだり。そんな男女がたくさんいる。イケテルカノジョを恋人にしよう。イケテルカノジョになって、素敵な恋をしよう。ノンフィクションライター降旗学が送る恋愛下手な人たちへの応援コラム。

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