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三洋電機が携帯事業売却へ
残る“本命”電池事業の行方

週刊ダイヤモンド編集部
2007年9月27日
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 2007年9月半ば、佐野精一郎・三洋電機社長の元を、片山幹雄・シャープ社長が訪れた。三洋電機は携帯電話事業の売却先として、シャープに照準を定めていた。だが、会談の席上、片山社長はその申し出を断った。

 両社は同じく大阪に地盤を置き、井植敏雅・三洋電機前社長と片山社長が近しい間柄でもある。トップが自ら出向くことで、三洋電機への礼儀を尽くしたと見られる。

 この瞬間、売却先候補は京セラ1社に絞られた。シャープとは対照的に、京セラは「稲盛和夫名誉会長が買収に意欲的と聞いている」(三洋電機幹部)。すでに、交渉は最終段階に入っていると見られる。

 2007年3月期の三洋電機の携帯電話事業は売上高3,402億円。連結売上高の15%を占める最大事業が売却対象となった経緯には、紆余曲折があった。

 昨年6月、世界最大の携帯端末メーカーであるノキアとの提携が白紙になった。「携帯電話事業の拡大」と「(それに搭載する)二次電池事業の拡大」という二兎を追ったが、一兎も得られなかった。

 北米市場の最大顧客である米通信事業者のスプリントが、追い打ちをかけた。米ネクステルを吸収合併したのを契機に、三洋電機製端末の納入は大幅に削減されたのだ。日本市場でもシャープのようにはヒット商品に恵まれなかった。

 2006年11月に三洋電機が、大株主である米ゴールドマン・サックスなど金融3社に再建計画の見直しを迫られたのも、この携帯電話事業の不振が発端だった。

 続いて、半導体事業、民生用の白物家電事業が撤退へ向かうのは、もはや既定路線だ。現実となれば、連結売上高は約2兆2,200億円から1兆5,500億円となり、企業規模は3割も縮小する。

 佐野社長を筆頭とする新経営体制になって半年。金融3社の主導の下、明らかに事業再編の動きは加速している。

 だが、三洋電機にとって、大胆な事業再編は、自分の首を締める危うさをはらむ。有利子負債残高は、2006年3月期の7922億円から、2008年3月期第1四半期の6028億円へと激減し、確かに、財務体質は改善している。身奇麗になったうえに、三洋電機の中核には、成長性の高い電池事業だけが残る。その汎用性は高く、電機・自動車メーカーが食指を動かすのは必至だ。今後、“本丸”争奪をめぐる動きが活発化しそうだ。
(週刊ダイヤモンド編集部 浅島亮子)

※週刊ダイヤモンド2007年9月29日号掲載分

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