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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

山口県知事選の現場で感じた地方自治崩壊の危機
「脱原発の旗手」が県庁の闇にもたらした一筋の光

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第50回】 2012年8月7日
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二井県政の継承を訴える山本候補
「人の熱気」は感じられない県庁前

 こういう選挙を「県庁ぐるみ」というのではないか。そんな思いが募ってならなかった。山口県知事選挙を取材しての実感だ。

 7月28日の午後7時すぎ、山口県庁前で待機した。周辺に人家はなく、閑散としていた。しばらくすると、車が次々に現れては県庁駐車場に吸い込まれていった。車から降りると皆、同じ方向へ歩き出し、一ヵ所に集まりだした。似たような服装の男性ばかりだった。

 選挙戦の最終日となったこの日、山口市の最高気温は35.4度。夕暮れ時にもかかわらず、立っているだけで汗が滴り落ちる。100人ほど集まっただろうか。年配者が多く、いかにもお役人といった雰囲気が漂う人ばかりだ。顔見知りを見つけ、互いに挨拶を交わす光景がそこかしこで展開された。OBなど県の関係者と思われる。

 日が沈み始めた頃、「山口に本気。」と書かれた幟が10本、登場した。準備が整うのを待っていたかのように選挙カーが県庁前に到着し、街頭演説が始まった。午後7時45分。自民党と公明党が推薦する山本繁太郎候補のマイク納めである。

 「3月に立候補表明し、相手がわからない状況が続きましたが、6月に入って突然、3人(の候補)が出てこられました。厳しい戦いが続きましたが、ゴールはあとわずかです」

 最初にマイクを握ったのは、山口県の二井関成知事。現職知事が目の前の県庁を指差しながら、こう演説した。その横に候補者が疲れた様子で立っていた。4期での勇退を決めた二井知事は山本氏を後継指名し、選挙カーに同乗するなど全面的に支援した。

 続いて山本候補がマイクを握り、「山口県や県民を全否定する主張をしている人もいますが、つくり直すのではなく、積み重ねていくことです」と、二井県政の継承を訴えた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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