株式レポート
8月6日 18時0分
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上振れた米雇用統計〜強い面と弱い面〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週末発表された7月米国の雇用者数(非農業部門雇用者数)は、前月比+16.3万人と事前の市場予想を上回る大幅増となった。6月まで3ヶ月連続で低調な雇用の伸びが続いたが、4ヶ月ぶりに安定成長を保つに十分な雇用増が示された(グラフ参照)。


・医療・教育などサービス業の雇用が14.8万人と2月以来の伸びとなったことが、雇用全体を押し上げた。今回の強い数字を素直に評価すれば、米国の国内需要の落ち込みには至らず、労働市場の減速が2010、11年夏場と同程度の影響に限定されている、ということになる。

・2010,11年の夏場に景気減速リスクの台頭で市場は荒れたが、その後も年末までに、米国の景気安定、そしてFRB、ECBによる市場安定化・金融緩和策を背景に株式市場は上昇に転じた。2012年も同様の展開が訪れる可能性が高まった。

・ただし、単月の雇用統計によって、米国の労働市場が改善に転じたと判断するのは難しい面がある。今回同時に発表された失業率は、8.3%と僅かだが上昇したが、家計を対象とした調査では、7月の雇用者が減少したことが一因である。家計に対する調査は、単月の変動が大きいが無視できない。

・また、雇用統計で、7月にサービス業の雇用が大きく増えたが、企業が春先のように雇用増に積極化する兆候は現れていない。雇用統計の中に、企業が雇用を増やしているかどうかについての調査項目があるが、この指数が7月に低下した。同様の結果はISM(サプライマネジメント協会)による企業への調査でもみられ、製造業・非製造業ともに、雇用状況を表す判断項目が7月にいずれも低下した(グラフ参照)。雇用を主に創出している非製造業において、49.3と大きく低下した。


・今回の雇用統計は、米国経済の減速が限定的であることを示している点でポジティブである。ただ、これらの企業への聞き取り調査の結果は、7月の雇用統計の上振れが、統計的なノイズで押し上げられている面もあることを示している。労働市場の減速に完全に歯止めがかかったと判断するにはやや物足りない。昨年末のように株式市場が上昇に転じるまでに、一波乱あってもおかしくない。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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