不動産・開発危うい狂乱#12Photo:Anita Bicanic/EyeEm/gettyimages

タワーマンションでは、階が上になるほど値段が高く、高層階に「格上」の意識を持つ住民が多い。しかし、中古の40階と20階で成約価格が平方メートル単価で同じというケースが出てきた。特集「不動産・開発 危うい狂乱」の#12は、マンション市場で生じている「異変」について、新築・中古・競売という三つの市場から多角的にあぶり出した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

東京・湾岸エリアの
タワマン中古物件で起きた異変

 2019年秋、東京の湾岸エリアにあるタワーマンションで40階と20階の中古物件が売却された。そこで今までにない現象が起きた。40階と20階の成約価格が平方メートル単価で同じだったのである。

 年末に売り出された別の物件では、40階前後よりも20階前後の平方メートル単価の方が高くなっているケースも出てきた。

 タワマンでは、階が上になるほど値段が高くなり、高層階に住むことに「格上」の意識を持つ住民が多い。

 しかし、いざ中古で販売されると、格上も格下もなかった。売ってみたら同じ価格、さらには逆転現象まで起こってきているのだ。