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8月7日 18時0分
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金融緩和はゾンビ企業を増やす?〜創造的破壊で復活するか〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

8月1日レポートでは、「リーマンショック後の日本の名目GDPが20兆円失われたまま停滞。これは、サービス価格や賃金下落など、デフレが止まらないことが招いている。中央銀行による金融緩和の強化が必要」と述べた。

・これに対して、以下のようなフィードバックを頂戴した。「日本の過当競争状況が問題なので、(サービスや賃金を上げるには)ゾンビ企業に退出頂いて、やる気のある企業に元気になって貰うしかありません」「金融緩和はゾンビ企業の存命をもたらすだけです」

・こうした考えは、経済学者シュムペーターによる「創造的破壊」で生まれるダイナミズムが足りないため、日本の経済停滞やデフレを招いているという現状認識が背景にあると推察される。戦前の米国・日本の不況時にも、こうした考え(清算主義)で政策運営がなされ、かえって経済停滞とデフレが深刻化した。その教訓から、経済が不況に陥ると、金融財政政策によって経済の落ち込みを和らげる対応が一般的になった。

・世界を見渡せば日本だけではなく、どこの国も不況やデフレリスクに対して、金融緩和策や財政政策で対応している。多くの先進国で短期金利がほぼゼロになった現状で、追加金融緩和について、効用と弊害については議論の余地があるとしても、デフレを伴う経済低迷に対して金融緩和によって対処するのは、ほぼ常識になっている。

・こうした対応が標準的になったのは、かつてシュムペーターが唱えた「不況を伴う淘汰(=ゾンビ企業の退出)を経て経済が復活する」というメカニズムが、個別企業ベースで観察されても、経済全体では実現しないためである。不況による「創造的破壊」が、経済全体にどう影響するか、経済学の世界でいくつかの実証研究がある。

・「経済論戦は甦る」(竹森俊平著)という名著に、米国の経済学者による不況が及ぼす雇用への影響についての分析結果が紹介されている。この分析の一つの結論は、「一旦不況で雇用が失われると、不況が過ぎても雇用は元の水準を超えない。その結果、新たに創出された雇用比率は低下する」ということである。「創造的破壊」が示すような雇用創出や経済回復は起きず、不況による「雇用破壊」の負の影響で、新たな雇用の創出にブレーキがかかる、のである。

・日本経済の低成長とデフレが長期化している。アメリカのアップルなどのように、新たに雇用を生む新規企業の誕生が日本で広がらないのは、不況をきっかけとする「創造的破壊」のメカニズムが、経済全体では簡単に起こらないことを示していると思われる。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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