デューデリジェンス(Due Diligence)は、英語で「当然支払うべき 努力」という意味で、「デューデリ」や「DD」と短縮されて呼ばれる。
 その名の通り、M&Aや投資を行う際には不可欠な事前審査作業で、対象会社の財務や法務に関するリスクマネジメントの状況を調べ、投資するうえでの損失やリスクを回避する。

 M&Aのデューデリは、なぜか12月に集中する。師走ならぬ“士走”ではないかと思えるほどに、弁護士、公認会計士、税理士、案件によっては不動産鑑定士、一級建築士など、「士業」といわれる資格者たちが、買収案件で一斉に駆けずり回る季節なのだ。

 なぜ、12月にデューデリが集中するのかというと、一つには、3月決算の会社が多いのが、その理由だ。3月期決算の会社にとって12月末は一つの区切りになる。つまり、3月末までにM&Aのディールを完了させるためには、どうしても12月末までにデューデリを終える必要があるのだ。行事カレンダーから考えても、6月末に株主総会があり、9月期の中間決算が11月には出揃う。そういうわけで、11月から12月にかけて新たな動きに出る企業が多い。毎年この時期は、我々M&Aを仕事とする弁護士は多忙なのだが、今年は例年以上に案件が増え、多くの事務所で文字通り猫の手も借りたい程の状況となっている。

 デューデリ作業は、実施する側が要求する資料のリストと質問事項を相手に送るところから始まる。どのような資料を要求し、どのような質問事項をするかで、デューデリの成否が決まるといっても過言ではない。

 「データルーム」といわれる部屋が用意され、そこにデューデリ実施側が要求したリストがその要求番号に従って備置される。データルームは、対象会社の会議室等が利用されることもあるが、秘密を守るために売り手側のアドバイザーを務める投資銀行の会議室やセキュリティのしっかりした貸会議室が用意されることもある。