出発点は業務を細かく分解すること

 前回、マネジャーの弱点として次の3つを挙げた。

1.全社の方針を担当者まで展開できていないこと。
2.業務上の異常(不具合)の処理を自らしていないこと。
3.部下の育成を計画的に推進していないこと。

 これを裏返せば、マネジャーが最低限果たす役割を示している。つまり、全社の方針を担当者まで展開し、業務上の異常(不具合)を処理して歯止め策を実施し、部下の育成を計画的に推進すること、以上がマネジャーのやるべきことのチェックリストというわけだ。

 HIT法は、これらの三つを実践するための武器となる。それができるのは、HIT法が業務を細かい単位に分解しているからだ。

 HIT法で最初に取り組むことは、業務プロセスの把握だ。業務を小さな単位に分解し、業務の機能を体系化し、図式化する。こうした過程のなかで、ムダやリスクに気付き、業務を改善できるだけでなく、業務管理の基本となるマニュアルを作成することができるし、社員個々の業務スキルマトリクス(スキルの一覧表)を作成することができる。

 マネジャーはここで生成されたマニュアルやスキルマトリクスを使って、業務管理やOJT推進をすればいいというわけだ。

誰にでも使える情報活用ツール

 業務を分解する、といっても難しいことはない。HIT法では、個々の業務プロセスをS(ストレート)チャートと呼ばれる図式で表現するが、このSチャートを作るのは社員(担当者)だ。

「チャートなんて作ったことはない」という人も多いだろうが心配は不要。HIT法では、専用ソフトに普段自分がやっている業務内容の処理手順を挿入していくだけで、自動的にチャートが出来上がる仕組みになっている。必要なのは通常のパソコンを使う程度のスキルだけだ。