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8月9日 18時0分
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5月以来の高値超えを窺う米国株〜リスク選好は続くか?〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週末の7月米雇用統計の上振れをきっかけに、今週も市場でリスク選好のムードが強まっている。米国株は5月初旬以来の高値水準に接近する格好で続伸している。更に安全資産である米国債が売られ、10年金利は1.6%台まで上昇した(グラフ参照)。


・米国債は6月後半以来の水準まで戻ったが、これまで欧州債務問題への懸念で、安全資産に偏っていた投資マネーが、リスク資産に戻る動きが始まっているのかもしれない。市場心理の好転で、このまま安全資産からの資金シフトが続けば、米国株の年初来の高値更新もみえてくる。また、米国金利が上昇する局面となり、今週日本株も遂に上昇に向かう兆しがみられ始めた。

・問題は、先週末の米雇用統計上振れをきっかけに、今後の市場の景色が変わるほど、世界の経済環境が改善しているかどうかである。雇用統計の評価を含めた米国の経済状況について8月6日レポートでご紹介したが、低金利による下支えで米国経済は落ち込みを免れる可能性は高い。ただ、これだけで、労働市場が回復に転じたとは判断し難く、2011年後半同様の状況なのか判断に悩ましい。

・そう考える一つの理由は、米国の国内需要は2011年同様の限定的な減速に止まるとしても、米国でも製造業の景況感悪化は変わらず、欧州の景気後退による世界的な景気減速による下押し圧力は依然強いことである。米国経済の持ち直しでこの縮小圧力を相殺し、そして世界経済の減速に歯止めがかかるのかまだ分からない。

・この点を判断する材料はいくつかあるが、7月26 日レポートでも紹介したが、新興国の生産活動で需給動向が変化する、銅やアルミニウムなどの産業用金属の価格動向に注目している。商品市況全体を示すCRB指数は原油高もあり、米国株高に連れて上昇している。一方、同様に動いてもおかしくない、産業用金属の価格はほとんど上昇していない(グラフ参照)。


・この点は、中国が輸入する鉄鉱石価格、バルチック海運指数(バラ積み船の運賃指数)の低下が続いていることと整合的である。これらは、米国の国内需要の底堅さだけでは、世界経済の減速に歯止めがかからないことを示している。

・また、米欧株や原油価格は6月初旬のボトムから相当戻っているが、新興国株の戻りは鈍い(グラフ参照)。これには中国本土株の停滞が大きく影響しているが、この株式市場の温度差には、上記のように世界経済に脆さが残っていることを反映していると言える。


・もちろん、肝心の中国を含め新興国も、金融・財政政策による景気刺激策が行われており、その効果がいずれはでてくるだろう。ただ目先については、世界経済の回復の遅れがリスク要因となるシナリオを念頭におきたい。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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