株式レポート
8月14日 18時0分
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底堅い米国株〜2010年の再来を期待?〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・世界的に夏休みモードで商いが薄い中で、米国株市場は底堅い。先々週発表された7月雇用統計の予想外の改善で上放れたが、その後も米国株は大きな材料がないがじりじりと上昇し、5月初旬のギリシャ総選挙前の高値水準付近まで戻している。

・米国株の上昇に引っ張られる格好で、7月まで買われる一方だった安全資産の代表である米国債相場も調整(金利上昇)している(グラフ参照)。7月末のドラギECB総裁による「必要な措置は何でも講じる」という発言をきっかけに債務問題への懸念が和らぎ、その後の米雇用統計改善が続いたため、10年国債金利も5月末以来の水準まで戻っている。7月末以降は、リスク選好モードが続いている。


・現在のこの状況が続くか、いくつかシナリオが考えられるが、以下では、2010年の米国市場の経緯と比較してみたい。というのも、2012年5月初旬から米国株が1ヶ月間の調整だけで、早々に再び高値まで戻しつつある現状は、米国株の調整期間が短期で済みそうな点で、2ヶ月間(2010年5〜6月)の下落を経て、上昇に転じた2010年半ばに似ているからだ。

・シンプルに米国株の動きだけでみると、市場は2010年同様の相場展開を想定し始めている、という仮説である。欧州債務問題に起因する混乱が年末まで続いた2011年よりも、現状がもし2010年に近いとすれば、このままリスク選好相場が続くことがありえる、ということになる。

・2010年の経緯を振り返ると、2012年同様、春先から(1)欧州債務問題への懸念が高まり、(2)米国の経済指標が減速した。その後、米経済の減速に歯止めがかかり、欧州情勢も一服したため米国株は2ヶ月で早々に下げ止まった(グラフ参照)。その後、ダメ押しとして米FRBの金融緩和への期待が高まり、秋口以降、米国株を含め世界的に株式市場はほぼ一本調子で上昇した。米国株は、2010年10月に、5月の高値水準を超えその後も上昇した。


・この観点で、2010年と現状(2012年)を比べると、米経済減速に歯止めがかかったか否かの点では、足元の7月雇用統計の改善は、2010年半ばに少し似てきたと言える。ただ、企業景況感指数や消費者心理指数などの先行指標などの動きを併せてみると(8月6日レポート参照)と、2010年夏場や2011年秋口、と同じように米国経済減速に歯止めがかかっているとまでは言えない。

・一方、2010年に米FRBがQE2を行い、世界的な株高に弾みをつけた点についてはどうか。8月2日レポートで紹介したが、直近のFOMC声明文の変更をみると、FRBが追加金融緩和(QE3)に踏み切る可能性が高まったと言える。ただ、実際に金融緩和に踏み切るかどうかは、雇用統計などでの、春先までのような労働市場の停滞が示される、という条件が必要である。

・筆者は、9月に発表される雇用統計が再び下振れるため、9月FOMCでQE3が行われると予想している。そうなると2010年8月での金融緩和の示唆が大きな節目となったが、当時と状況は似てくる。ただ、現在は、2010年ほどデフレリスクが大きくない。また、QE3以外の金融政策のオプションがあるなどFOMCで議論が紛糾する可能性もある。ハト派に近いバーナンキ議長のリーダーシップだけで、市場が期待している追加金融緩和が実現しないシナリオもありうる。この点で、2年前と現在はやや似ているが、同じ展開になるかは微妙である。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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