さいたまスーパーアリーナ格闘技団体K-1の興行強行で浮き彫りになった、政府の緊急時対応のマズさとは Photo:PIXTA

自粛要請下で興行を断行
K-1を一方的に非難できない

 イベント自粛要請が続く中、3月22日に格闘技団体K-1がさいたまスーパーアリーナで興行を開催しました。政府がイベント自粛要請を出して以来、観客を入れた大会場で興行を行った初の事例なので、かなり注目されました。K-1に対する批判も凄かったですが、この事例を通じて私たちが学ぶべきは、政府の緊急時対応のマズさではないでしょうか。

 私は政策の世界にいまだ関わる一方で、「RIZIN」という団体を通じて総合格闘技の世界に関わっていることもあり、自粛要請を出す側と受ける側の両方の事情をある程度わかっているつもりです。その立場から最初に私見を述べさせていただくと、やはりK-1は今回の興行をやるべきではありませんでした。

 それは会場が大き過ぎるからです。小さな会場ならばマスク着用、入場前の消毒などの感染防止策を講じ、入場者がそれを守っているかもチェックできますが、1万人以上が入る大会場(当日の入場者は6500人)でそれを徹底するのは不可能です。

 もし会場がクラスターとなって感染者が多数発生したら、社会にとって迷惑であるだけでなく、主催者も社会的責任を問われるため、あらゆる意味でリスクが大き過ぎるのです。

 それでも同時に、興行を強行したK-1を一方的に非難することもできないとも思っています。

 というのは、格闘技の興行は非常に華やかには見えますが、そのビジネスの内実は、大企業が親会社やスポンサーとなって支えるプロ野球などとは大きく異なるからです。プロレスなどのごく一部の団体を除けば、完全な自転車操業となっている場合が多いのです。

 端的に言えば、自粛はあくまで政府の“要請”に過ぎず、それに従っても政府は何も補償してくれないことを考えると、政府のイベント自粛要請に従って興行を中止したら、会社が潰れてしまうリスクがあるのです。