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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

鳩山成長戦略が掲げる
“10年で400万人雇用創出”の現実感

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第107回】 2010年1月8日
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 年の瀬が押し迫った昨年12月30日、鳩山由紀夫首相は官邸で緊急記者会見を開き、「輝きのある日本へ」と副題を付けた、夢と期待が膨らみそうな「新成長戦略」を公表した。

 この戦略は本文が29ページに及ぶ国家計画で、2020年までに環境、健康、観光の3分野で100兆円の需要を創造し、これによって、400万人の新規雇用を創出するとの目標を掲げている。

 まことに野心的な国家戦略だが、果たして、本当に実現するのだろうか。

本当に成長が可能ならば
これほど喜ばしいことはないが…

 まず、首相と政府の見解を説明しよう。

 この日の記者会見を、鳩山首相は「(今日は)日本の未来を予感していただく1日になろうかと思います」という言葉で始めた。そういいながら、誇らしげに大きく胸を張って見せたのだ。

 次いで、自民党政権時代の成長戦略について、「いままで成長戦略がいくつも出来ていたけれども、それが機能しなかった」とばっさり切り捨てた。そのうえで、今回の戦略を「わずか2週間の後に骨格を作れと申し上げた」と、年末にかけて内閣支持率が急ピッチで低下して、首相の指導力の欠如に批判が高まっていたことに対して、そうした批判は的外れであり、自分には強い指導力があると言い張ったのだ。

 そして、鳩山首相はさらに、演説をブレークダウンして、「これまでの成長戦略が失敗に終わった」原因が、「公共事業一点張り」が長く続き過ぎたことや、「市場原理主義をもてはやした」ことにあると分析してみせた。「経済のために人間が動かされていた」点に問題があり、「これからは人間のための経済でなければなければいけない」「友愛精神に基づいた人間のための経済というものが、この国の新たな成長をしっかりと作り上げていくことができる」と主張した。

 具体的な有望分野としては、環境問題が「日本の弱みじゃないか」との認識を示したうえで、これを「日本の強みに変える」との考えを示した。あわせて、少子高齢化という課題を抱える健康産業や、疲弊した地域の再活性化の中にフロンティアがあるとの考えを示したのだった。

 ここまで言われれば、誰でも、期待したくなるだろう。厳しく見るエコノミストの中には、実力を冷静にみれば、日本の潜在成長率はマイナス0.5%程度に過ぎないとの見方もある。温暖化対策の負担の重荷と、少子高齢化という市場縮小要因の中で、首相が言うように形勢を一気に逆転できるなら、これほど喜ばしいことはない。早速、29ページの本文と説明資料を入手し、読んでみた。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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