株式レポート
8月17日 18時0分
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名目GDPが増え続けると何か起こるか?〜2013年までの展望〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(8月16日)日経新聞夕刊に「2013年度の経済成長率について実質で1.7%、名目で1.9%とする見通しを固めた」と報じられた。更に、「総合的な物価動向を示すデフレーターは16年ぶりに上昇に転じ、デフレ経済の象徴だった名目成長率が実質を下回る名実逆転の現象が解消する軌道を描く」と解説されている。

8月1日レポートで採り上げたが、リーマンショックの落ち込み直後から日本の名目GDPがほとんど増えていない主たる要因は、デフレ圧力が全く和らいでいないことである。デフレが解消に向かうという政府見通しは、これまでの停滞著しい日本経済の状況が一変することを意味する。

・デフレが解消し名目GDPが増えるのは、日本の企業そして我々家計を含めて、所得(売上、収入、給料)が増える経済状況だからだ。そして、企業の利益が長期的に増える期待が広がれば、それを織り込み株式市場も上昇する。名目GDPの数字は、中長期的な投資判断の材料として極めて重要である。

・グラフでは、1995年以降の名目GDPの推移を示しているが、これが持続的に増える局面では、日本株が上昇している。また、日本株が過去20年以上長期下落を余儀なくされているのは、名目GDPが低下トレンドから脱することに、これまで失敗し続けてきたためであることを示している。


・今回明らかになった政府見通しでは、2012、13年度2年続けて名目GDPが1.9%成長である。これが実現すれば、2年後までに名目GDPは490兆円を超える。この名目GDPは、リーマンショック前の約500兆円には届かないが、2010年の水準を大きく超えることになる。この経済環境ならば、企業の利益水準も2010年を超え、それを反映する過程で、日経平均株価も2010年の高値超えを目指す展開が訪れることになる。

・一つの問題は、政府見通しが実現するか否かである。デフレという「引締め環境」が続く日本経済は外部のショックに極めて脆弱だが、2013年度については消費増税前の駆け込み需要(住宅投資、個人消費)で1%程度成長率は押し上げられる(8月13日レポート)。期間限定だが、これまでの復興需要よりも強い追い風になると思われる。


・これを踏まえると、2013年は世界経済が大きなショックに見舞われない限り、日本経済は堅調な成長を保つ。実際には、デフレ圧力は政府の想定よりも強いため、デフレーターがプラスに転化することは難しい。また、当面2012年後半に成長率が大きく減速するため、名目GDPは年率ベースで1%程度の伸びに止まると予想している。

・この名目GDPの伸びは、政府の想定よりも低いが、それでも名目GDPは、2010年半ばの水準を超える経路を辿ることになる。こうした経済環境が想定される中で、2013年になると、駆け込み需要の盛り上がりによる経済復調を先取りし、日本の株式市場は底堅く推移する場面が十分想定できる。

・最大の問題は2014年に起きる、駆け込み需要の反動減と消費増税による家計所得の大幅減のネガティブインパクトである。この大きなショックに耐えられる自律的な回復力が日本経済に備わっているとは、現状想定することは難しい。このまま何らかの対応がなければ、消費増税が始まる2014年に、大震災に見舞われた2011年度(0.0%成長)を上回る、深刻な経済の落ち込みが予想される。

・この落ち込みが回避されるには、(1)海外経済の高成長、(2)早期デフレ解消で自律的な国内需要拡大が実現する、という2つの条件が重なることが必要だろう。現状、これは楽観シナリオと考えているが、この可能性について別の機会で説明したい。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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