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辻広雅文 プリズム+one

リストラ・破綻以外で人材を流動化させる労働法制改革の意義

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
【第22回】 2008年4月2日
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 米国金融危機の急速な深化は、90年代後半の日本における巨大金融機関の連鎖倒産をまざまざと思い起こさせる。

 94年の暮れに東京都にある2つの信用組合で発火した危機の種火はいつしか燎原の火となり、日本の金融機関を嘗め尽くした。当時、金融担当記者だった私にはひとつひとつの破綻が今もフラッシュバックでよみがえる。最後に焼け落ちたのは、98年の旧日本長期信用銀行(旧長銀)であった。

 旧長銀は外資系ファンドに買い取られ現在の新生銀行に転生したが、多くの行員たちが去った。自主廃業に追い込まれた山一証券も同様だが、優秀で働き盛りの30代、40代が銀行、他の金融機関、外資系に流出しただけでなく、あらゆる企業、産業に招かれ、アカデミズムに移り、政界に進出し、あるいは自ら起業した。自分に蓄積した金融技術、スキル、ノウハウを異業種に生かし、融合した。彼らが新しいやり方で、日本の金融産業を活性化させたことは間違いない。

 80年代後半、米国は焦りを募らせていた。

 もはや、製造業の競争力では日本にかないそうもなかった。品質も生産性も劣後してしまい、国内市場は輸出製品で席巻された。彼らは追い詰められ、構造改革と産業構造の転換を必死に進めた。

 一方で財政問題も抱えていたから、政府として潤沢な資金を投入するどころか、政府部門をリストラしなければならなかった。その標的のひとつが米国航空宇宙局(NASA)であった。大幅な人員削減が実施され、職を失ったロケットサイエンテイストたちは生活の糧を得るために必死になった。

 彼らのあるかたまりは、ニューヨークのウォールストリートに流れ着いた。月にロケットを送り込む科学技術と金融ビジネスが結びつき、金融工学が生まれた。最新の金融技術を武器に米国の金融界は全世界を席巻、金融資本によって米国は新たな成長を手に入れた。

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辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]

1981年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属後、エレクトロニクス、流通などの業界を担当。91年副編集長となり金融分野を担当。01年から04年5月末まで編集長を務める。主な著書に「ドキュメント住専崩壊」(共著)ほか。


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