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アマデウスたち

須川展也
美しい音の存在を歌う

週刊ダイヤモンド編集部
【第53回】 2008年11月7日
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須川展也
写真 加藤昌人

 ジャズで重用されるサクソフォンは、もともとは1840年代にクラシック向けに開発されたものだ。まもなく作曲家のビゼーが「アルルの女」で美しい主旋律を与え、その存在が広く認知される。

 「まるで天から降りてきたような透明な音」。出会いは中学生時代の音楽の授業だった。サム・テイラーが奏でる情念を映したような濁ったテナーサックスに魅せられて、フルートに代えて練習を始めたが、一転、クラシックのソリストになる道を選んだ。オーケストラの編成に加えられることの少ない楽器だが、「こんなに美しい音の存在を知ってほしい。その思いだけで吹き続けてきた」。日本の第一人者となった。

 「歌うような」と多くの評論家がその音を形容する。巧みな楽器さばきはもちろん、語りかけるようなフレージングが持ち味である。4月にリリースしたアルバム『アリア』では、オーケストラをバックに、歌曲をカヴァー、雑みのない、オーガンジーをまとったような、柔らかな響きを聴かせている。

 「切なさだったり、優しさだったり、心の動きを解釈して、歌詞の代わりにヴィブラートや音量の変化に置き換えて伝える。それが楽器にできること」

 サクソフォンの音は人間の声に最も近いといわれている。「人間は皆、根源的には感情を吐き出すように、歌いたいんじゃないかな。僕の声帯はここにある」。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

須川展也(Nobuya Sugawa)●サクソフォン奏者。1961年生まれ。東京藝術大学卒業。日本音楽コンクール管楽器部門1位なしの2位、日本管打楽器コンクールサクソフォン部門1位を得てデビュー。1994年村松賞、出光音楽賞を受賞。4月発売の『アリア』を含む、25枚を超えるアルバムをリリース。

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