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ピカチュウと一緒に歩いた被災地の日々
~33万人の子どもたちとポケモンの絆が明日を創る

石島照代 [ジャーナリスト]
【第32回】 2012年8月22日
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田中:避難所でも仮設でも、パーテーションや薄い壁だけで仕切られた空間の中、子どもたちには「走ってはだめ」、「騒いではだめ」、欲しいものも「ガマン」と言い聞かせながらやってきたと。仕事も無くし、食べていくのが精一杯の生活をされており、ほんの少しでも子どもたちが嬉々として遊べる時間が与えられたことに感謝です、というお手紙を持って来てくださったんです。みんなで泣きながら読んで……、本当に切ないなぁと。そういうお声が聞こえてこなくなったら、私たちの役目は終わりですが、聞こえてくる限りは支援を継続せざるを得ません。

石島:継続的に活動するためには、地元との信頼関係作りも不可欠ですよね。

田中:それはご指摘の通りです。ある場所に伺うにしても、いきなり活動していいわけではありません。まずは、地域をまとめていらっしゃる方にご挨拶に伺い、日程や段取りを決めます。そういう調整も、メンバーがみな丁寧にやっています。

 私たちも毎日ではないにしても、できる限り多くの場所を回ろうと決め、トヨタ自動車さんの御協力もいただいて「POKÉMON with YOUワゴン」(写真)を仕立て、今年の2月からすでに50ヵ所以上を回りました。年度内で100ヵ所程度という計画です。

 もちろん全部社員が行っているというわけではなく、イベント会社の方にもご協力をいただいています。また、昨年12月、復興支援の拠点として仙台にオープンした直営店舗「ポケモンセンタートウホク」に子どもたちを招待するような企画も行っています。

 これまでの様々な活動で私たちが出会った子どもたち、という言い方がいいと思うのですが、のべ33万人くらい。岩手・宮城・福島の3~12歳の人口が49万人くらいなので、結構な数に上るとは思います。1回きりではなく、これからもきめ細かい活動を続けたいと思います。

避難所に届けられた「ピカチュウかぶと」
第三者の善意が伝播した理由

石島:これはネット上の書き込みで目にしたのですが、昨年の5月に「ピカチュウ」の広告折り込みをしたそうですね。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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