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ピカチュウと一緒に歩いた被災地の日々
~33万人の子どもたちとポケモンの絆が明日を創る

石島照代 [ジャーナリスト]
【第32回】 2012年8月22日
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石島:企画が終わっても文通が続いているとなると、「じゃあ、実際に会いましょう」という話にもなりそうですね。

田中:実は、宇部市の復興支援「うべ」(官民協働プロジェクトチーム)が、いわきの子どもたちを楽しい夏休みを過ごしてもらおうと、文通を行った小学校に声をかけ、7月下旬に40名の児童を宇部に招待してくださいました。文通を行った宇部の子どもたちが空港に出迎え、懇親会や思いっきり遊べるプログラムが沢山用意されていました。私も立ち合いましたが、素晴らしい企画でしたよ。

被災地の子どもの人生を背負うことはできないが、
気持ちはいつも一緒だと伝えたい

田中:活動を1年以上続けてきて思い出すのは、最初に伺った避難所で、小学6年生の女の子が、「たいしたことないから」って言ったことです。ご両親を亡くし、数日間生き延びて避難所にやってきた経験が「たいしたことない」わけがない。周りがみな同じような境遇を抱え、そうとしか言えない姿を見て胸が詰まりました。

 でもその子はその子なりに「強く生きていかなくては」という気持ちを表現している。だから私も「また来るね」としか言えなかった。被災地の子どもたちには、家族や親戚と支えあって生きていかなければならない、厳しい現実がある。私たちはそのすべてを負うことはできないと、その瞬間思いました。

 じゃあ支援活動を止めるかというと、そういうことでもないと思います。うちのメンバーも現場に直接足を運び、生の声を聞きながら、「やりたい」という気持ちを持ち続けている。しかも、会社の理解があり、関係各社の協力がある中で、責任者の私は終わりにしようとは言えないと感じています。

石島:被災地の方々が日々がんばる時に、見守るまなざしがあるのとないのでは気持ちの持ちようが異なってくると思います。まずは、被災地外からの「私たちは忘れていませんよ」っていうメッセージが続いていくことの重要性を、今回のポケモンの活動から私自身は感じました。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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