法則4:さまざまな事前期待に応える

 お客様の事前期待に応えてライバルに差をつけていくには、どうしたらよいでしょうか? そのためには、まずさまざまな事前期待に応える活動が必要になります。

 共通的な事前期待は、誰もが期待するような事前期待です。たとえば、レストランは誰でも清潔で適切な均一なサービスを提供してほしいですし、定食屋さんでは注文した順番を間違えずに早く食事を出してほしいと、みんなが思っています。この共通的な事前期待への対応は、ベテランだけでなく、新人など、その業務に精通していない初心者にもわかりやすく伝えるためにマニュアル化が必要です。

 個人的な事前期待に応えると、お客様はどのような印象を持つのでしょうか? 共通的な事前期待と同様に「価値あるサービス」と評価する場合もあるでしょうし、「ワン・トゥ・ワンサービス」だったり、「すばらしいサービス」と評価されるでしょう。人は誰でも「自分が一番」と思っているところはないでしょうか? 裏を返せば、サービスを提供している企業や店舗側からすると「自分のことをよくわかっているな」と思わせたら勝ちだと思います。

 状況で変化する事前期待に応えると、「すばらしいサービス」だったり、「ホスピタリティサービス」だったり、「感動サービス」と評価されます。タイミングよく、お客様のその時の状況に応じた事前期待に応えると、サプライズが生まれる可能性があります。このような「状況で変化する事前期待」に対してはある程度、対応者に権限を委譲する必要があります。とっさの判断の中でお客様にとって最適なアクションを、いちいち上司にお伺いを立てていてはお客様のハートをつかむチャンスを逸してしまうからです。

 潜在的な事前期待に応えると「ホスピタリティサービス」だったり、「感動サービス」と評価されます。お客様が意識していない潜在的な期待に応えるのですから、うまくいった時のお客様の顧客満足は、他の事前期待に比べて群を抜いています。自分たちのモノやサービスを利用するお客様はいったい何を求めているのか。そして、その反対にお客様は何をしたら嫌がるだろうか。ある意味、潜在的な事前期待に応えるアクションは恋愛ゲームと同じと考えることもできます。

 まずは、お客様のことを好きになることが必要です。好きになれない場合でも、お客様について関心を持つことが重要です。そして過去の成功事例を蓄積し、関係者全員で共有することも似たようなケースの場合に役に立つかもしれません。