株式レポート
8月23日 18時0分
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更に高まるQE3の可能性 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(8月22日)の米国市場では、8月1日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨の公表をうけて、追加金融緩和の期待が高まり、米国株は下げ止まり、米国金利は低下、為替市場で円高ドル安となった(グラフ参照)。なお、このFOMCでは、結果公表時に(1)景気認識を下方修正、(2)「必要に応じて追加金融緩和を行う」と金融緩和に前向きな声明文に変更、が既に判明している(8月2日レポート)。


・FRBによる追加金融緩和の可能性が高まる中で、FOMCメンバーの意見集約がどの程度進んでいるかが今回注目されていた。議事要旨では「多くのメンバーが、かなりの持続的かつ強い景気回復を示さなければ、早期に追加金融緩和が必要になると判断した」と表記された。つまり、追加金融緩和について、「多く」つまり過半数のメンバーが、必要と考えていることが明らかになった。

・半数以上のメンバーが追加金融緩和の必要性を認識していることに加えて、注目されるのは「持続的かつ強い経済の回復」という金融緩和の条件である。4―6月には、GDP成長率は+1.5%に止まり、雇用の伸びが低調だったが、同様の状況が続けば追加金融緩和が必要になるというFRBの認識は既にはっきりしていた。

前回のレポートで、「4―6月同様の+10万人/月を下回る雇用増」が続けば、FOMCは追加金融緩和に踏み切る可能性が高いと考えた。ただ、今回明記された「強い経済の回復」がなければ金融緩和が必要ということは、少なくとも失業率の低下をもたらす雇用増が確認できなければ、FRBは追加金融緩和に踏み出すことを意味する。

・このFOMCでの議論を踏まえると、FOMCが金融緩和見送りを判断するには、4―6月の雇用停滞(平均+7.3万人/月)から若干の改善、つまり+10万人/月前半の雇用増は十分ではなく、少なくとも+15万人/月以上と、2012年春先同様の雇用増まではっきり戻ることが必要になる(2010年以降の民間雇用の平均は+14.4万人/月)。つまり、FRBが安心して、金融緩和を見送ることができるハードルは相応に高い。

・もちろんこのFOMCは、3ヶ月連続で停滞した6月分までの雇用統計をうけて議論されており、7月の+15万人/月を越える雇用改善はこの時は判明していない。ただ、8月の雇用統計(9月7日公表)が、7月分同様に+15万人を越えなければ、4―6月の停滞を併せると「雇用は十分回復していない」「追加金融緩和が必要」という判断になるのではないか。

・これは、2010年夏場にQE2(量的緩和政策)に踏み切った時の、FRBの判断と似ている。当時も、雇用の回復が+10万人程度と緩やかになっていた。また現状インフレ率はFRBが掲げる2%の目標に近く、2010年よりもデフレリスクは小さいが(グラフ参照)、それでもFRBは目標である「雇用の最大化」を最も重視し、金融政策の判断を行っているということだろう。


・インフレ率が目標に近い中での追加金融緩和については、その手段や弊害などFOMCで議論が行われている。ただ、議事要旨の中に、「新たな資産購入は、長期金利低下や金融環境の幅広い改善を通じ、経済回復を支えることに、多くの参加者は期待した」とあり、国債やMBS(住宅ローン関連証券)などの、資産買い増しが具体的な対応策になるとみられる。

・これらから判断すると、9月7日(金)公表の8月分雇用統計で、7月と同程度の雇用の大幅な伸びとならなければ、FRBは現在の超低金利を続ける予想期間を延ばす「時間軸延長」に加え、QE3を決定するだろう。緩和見送りのハードルが高いことが判明した分、このシナリオの可能性が高まったと言える。

・目先は、9月初旬のECBの理事会での国債買い取り策への思惑を含めて、世界的な金融緩和に対する市場の期待が強まるだろう。ただ、FRBの金融緩和が金融市場全般に及ぼす影響が、前回量的緩和策が行われた2010年と同様決定的に大きいかどうかは、何とも言えない。欧州情勢と世界経済の状況が、2010年と2012年では依然異なる点も多いためである。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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