ユニーは今年4月、株式公開買い付けによりサークルKサンクスを完全子会社化した。グループの成長戦略などについて話を聞いた。

ユニー社長 前村哲路<br />グループ内のシナジー高め<br />激しい価格競争に打ち勝つPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──流通業界の現状と見通しは。

 昨年度のユニー単体の経常利益は過去最高益を達成した。しかし今年度に入り潮目が変わった。足元は2008年のリーマンショック後と同じ水準の厳しさだ。

 苦境の背景には三つの要因がある。一つ目は所得構造の変化だ。中間層が厚い“タマゴ形”から、底辺が広い“ピラミッド形”にシフトし、今では世帯収入300万円以下が全体の26%超を占めている。二つ目は消費増税。三つ目が欧州危機だ。

 こうした中で、消費者は生活防衛に走らざるを得ない。実際、当社の客数は減少傾向が顕著になっており、月によっては前年比で5%も減少。経営者としてものすごく大きな危機感を抱いている。

 当社は以前から事業方針として“価格訴求”ではなく“価値訴求”を掲げ、同質の価格競争には巻き込まれない戦略を続けてきた。

 だが、今年7月、ナショナルブランド1300品目の値下げに踏み切らざるを得なかった。このような大幅な値下げを発表したのは、当社としては初めてのことだ。

 価格を競う体力勝負は一時的なものではなく、今後も続くだろう。客数減に歯止めをかけるためにも商品の3割を“価格訴求”に切り替える。

──今春にサークルKサンクスを完全子会社化した狙いは何か。

 ユニーとの連携のさらなる強化だ。かつてはコンビニエンスストアと総合スーパーでは客層も商売方法も大きく異なっていた。だが、今では両者の客層に違いはほとんどなく、シナジーを発揮できる余地は拡大している。