中国で高級ブランドとしての地位を確立したTOTOは、中国進出する日本企業の手本にもなっているが、インドネシアでも実はシェアトップ。製造・販売共に地域に根差した“究極の現地化”経営をレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

 中国の上海にあるTOTOショールーム。その2階展示スペースで自動開閉するトイレのふたに熱い視線を注ぐ新婚夫婦は「ほう……」と感嘆のため息を漏らした。

 中国に15ある大型ショールームは週末になると夫婦や家族連れが押し寄せ、彼らは高級感に溢れた商品群に魅了される。

「TOTOのトイレを自宅に置くのが夢だ」という新婚夫婦が1階に下りると、そこは販売代理店の即売所。夫婦は電卓を持った店員に「他社製品のほうがずっと安いんだよね」ともったいをつけながら、価格交渉を始めた。

 日本でTOTOのトイレといえばシェア60%を占める“おなじみ”の存在だが、中国では憧れの高級ブランドである。その中国でのビジネスは、今やTOTOの成長を牽引する柱になっている。

【企業特集】TOTO<br />インドネシアでもシェアトップ<br />“超”現地化経営の強さとひずみ中国のショールームは高級感溢れる作り。週末はまるでバーゲン会場のように多くの人でにぎわう

 売上高を見ると、主力である国内は新築の落ち込みをリフォームでカバーするものの、市場そのものは頭打ちだ。一方で新興国を中心とした海外市場は成長余地が大きく、稼ぎ頭である中国の営業利益率は21%にも上る(図参照)。