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ここまで来てしまったら、シャープはどうすべきか?
日の丸家電が辿る「古典的な衰退」と生き残りの条件

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第240回】 2012年8月28日
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シャープ危機の背景に見える
わが国家電メーカー衰退の構図

 わが国の家電メーカーの地盤沈下が一段と顕著になるなか、足もとでシャープの経営危機懸念が一気に高まっている。

 2012年3月期の決算で過去最悪となる3900億円の最終赤字を計上した前期に続き、今期も主力事業の液晶テレビ「AQUOS」や太陽電池の赤字に歯止めがかからず、2013年3月期の最終赤字が2500億円に上る予想を発表した。

 そうした状況下、シャープの救世主になるはずだった台湾の鴻海グループが、シャープの株価の下落を理由に当初の方針を変えている。それに伴い、同社はさらなるリストラを断行し、主力事業を軒並み売却する方針を立て、必死で生き残りを図っている。

 そこには、つい数年前まで「世界の亀山モデル」と言われ、薄型テレビ市場を席巻した勢いは微塵も感じられない。同業であるパナソニック、ソニーもかなり厳しい状況に追い込まれており、わが国家電メーカーの凋落ぶりが鮮明化している。

 わが国の家電メーカーが、窮地に追い込まれている理由は1つではないだろう。外部要因としては、円高が進み世界市場での競争力が低下したこと、高付加価値の分野であるスマートフォンなど、IT関連製品でアップルに大きく後れをとったこと、韓国や台湾、さらには中国メーカーの追い上げが予想以上に急速だったことなどが考えられる。

 しかし、もっと重要な理由がある気がする。当該分野の専門家である技術者や、アナリスト連中にヒアリングをしてみると、意外にも企業内部の問題を指摘する意見が多かった。

 「顧客の欲しいと思う製品をつくることができなかった」「意思決定が遅すぎて、世界市場の流れに追いつけなかった」などの声が多い。突き詰めて考えると、わが国企業の経営の問題に行き着く。

 経済専門家の中にも、「シャープに限らずパナソニック、ソニーともに、円高の進展や韓国サムスンの追い上げなどの特殊要因が重なって、経営状況が一挙に悪化した」との見方をする人もいる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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