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岸博幸のクリエイティブ国富論

現場の技術は最高でも、ビジネス下手
WBC連覇で見えたプロ野球“産業”の課題

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第33回】 2009年3月27日
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 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、日本の2連覇で幕を閉じました。決勝戦での劇的な勝利には日本中が興奮したと言っても過言ではないでしょう。でも、ちょっと角度を変えてこのイベントを見ると、違った側面が見えてきます。かつ、それはクリエイティブ産業にも関係しますので、今回はちょっとひねくれた視点からWBCを考えてみたいと思います。

米国内の盛り下がり

 テレビでWBCの試合中継を見ていて気になったのは、観客席でした。第2ラウンド以降の試合は米国で行われましたが、日本や韓国の試合だと観客席は日本人や韓国人ばかりで米国人はごく僅か、主催国の米国の試合では観客席がガラガラというのが、テレビを通じても明らかに分かりました。

 気になったので調べてみると、数字がそれを裏付けています。第2ラウンドでの米国対オランダの敗者復活戦という、負ければ主催国である米国のWBC敗退決定という大事な試合でも、観客数は僅か1万1千人でした。ちなみに、米国対ベネズエラは1万6千人、米国対プエルトリコは1万3千人でした。加えて言えば、日本対キューバという米国民は関心ないであろう試合は9千7百人でした。

 それでは、野球大国のはずの米国でなぜWBCが盛り上がらなかったのでしょうか。これについても調べてみると、米国内でも専門家が色んな意見を言っています。幾つか拾ってみますと、

・ WBCという大会の意義や仕組みが不明確なため、米国民が関心を持てなかった

・ シーズンを前にした大リーグのチームが全面的に協力しなかったため、米国チームのメンバーが魅力的でなかった

・ 米国のスポーツ好きにとっては一大イベントである大学バスケット(NCAA)と時期がかぶっていたため、テレビ放送や国民の関心がそちらに行った

といった理由が挙がっていました。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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