絶望的でわが身を哀れむ気分が、もはや消えていた。にっちもさっちもいかない状態ではなかった。あの日、わたしにはなんらかの力がもどったのだ。はっきりいって、生活はいまだに大混乱をきたしているけれど、改善する力があるのはわかりはじめていた。なぜか、まもなく救いがおとずれて、楽しい日々がやってくると信じていた。その救いがどんなにすばらしいものか、わたしの人生がいかに楽しくなるかについては、ほとんどわかっていなかった。

 でも、くわしい話をするまえに、みなさんは、どんな事情でわたしが落ちこみ、自殺を考えるようになってしまったのだろう、と思っているかもしれない。

 わたしは2、3年前までホテル・グループのオーナーとして巨額の金を稼ぎ、美しく知的な妻と優秀な3人の子どもに囲まれ、だれもが夢見るような生活をおくっていると思っていた。だが、実際は仕事のことが頭を離れず、出張や会食で家をあけ、「認められたい、勝ちたい」という欲求に駆り立てられて自分中心にしか考えていなかった。

 突然、妻と子どもが家を出ていき、訴訟を経て離婚、自宅を追い出されたわたしは所有するホテルの一つで暮らしはじめ、浴びるように酒を飲むようになり、すさんだ生活を送るようになった。そういった状況が、先ほど述べたみすぼらしいモーテルへと導いたのだ。

 ……偶然ではないと思う。わたしが師に出会ったのは、モーテルの部屋で啓示があった翌日だった。

[この連載は毎週木曜日に掲載します] 


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こめかみに銃を押しあてたとき、白い光が……

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