橘玲の世界投資見聞録 2012年9月6日

[橘玲の世界投資見聞録]
失業率が深刻なポルトガルでは
旧宗主国と植民地の関係が逆転していた

人影のほとんどない首都・リスボン

 リスボンに着いたのは日曜日の午後で、空港からタクシーでホテルに向かう時の印象は「映画のセットみたいな街だなあ」というものだった。白壁にオレンジ色の屋根の美しい街並み。しかし、通りには歩行者がまったくいないのだ。

リスボンのシンボル、ボンバル侯爵広場の周りも閑散としている。それが夜になると…… (Photo:©Alt Invest Com)

 予約したホテルは、「ポルトガルのシャンゼリゼ」といわれるリベルダーデ(自由)通りの近くだった。エドゥアルド7世公園からリスボンのシンボルであるボンバル侯爵広場を経てテージョ川に面したバイシャ(下町)地区へと向かう大通りで、ホテル正面の公園には南米原産のジャカランダという木が青紫の花を咲かせていた。日本でいうと桜並木だが、人影のない日曜の公園を歩けば桜の代わりに紫の花が風に舞って、まるでSFの世界にトリップしたみたいだ。

人影のない公園の“ジャカランダ並木”。青紫の花が風に舞ってSFの世界 (Photo:©Alt Invest Com)

 オフィス街のあるボンバル侯爵広場のまわりにも、やはりひとの姿はほとんどない。そこからリベルダーデ通りをさらに南に下って、バイシャ地区に近づくとようやく観光客が増えてきた。それでもZARAなどのショッピングセンターは日曜は店を閉じているので、繁華街にもシャッター通りのようなわびしさが漂う。

バイシャ(下町)地区のアウグスタ通り。カフェやブランドショップが並び、観光客が集まる。向こうに見えるのは「勝利のアーチ」 (Photo:©Alt Invest Com)

 そもそもリスボンの人口は50万人、東京でいえば杉並区くらいの住民しかいない。それが山手線の内側よりもひと回り広い地域に暮らしているといえばイメージが湧くだろうか。

 世界金融危機で財政破綻の危機に瀕した国をPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシア、スペイン)と総称するが、ダブリン(アイルランド)と南欧の都市を比べてすぐに気づくのは、レストランに観光客しかいないということだ。週末のダブリンは、地元の若者たちがパブやレストラン、スポーツバーに集まってすごい熱気だった。リスボンでは、カフェやレストランは観光客のためのもので、休日にリスボンっ子が街に繰り出すということはない。

ZARAも日曜はシャッターを下ろして、閑散とした雰囲気 (Photo:©Alt Invest Com)

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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