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安東泰志の真・金融立国論

投資ファンドを悪用することは本当に可能か

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第25回】 2012年9月6日
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オリンパス事件の教訓
「投資ファンド=悪」か

 昨年秋、英国人社長が解任され、その元社長が海外の当局やマスコミに訴えたことで一気に事件化したオリンパスの旧経営陣による「飛ばし」問題。

 この問題の本質的な部分は、それまでも一部雑誌等でかなり正確に報道されていたが、実際に「飛ばし」の詳細が明らかになったのは、同社が設置した第三者委員会の調査報告書が出てからである。この報告書によって、「飛ばし」の背後に、それを可能にする仕組みとして、投資ファンドが多数使用されていたことが改めて浮き彫りにされた。思い起こせば、これ以外にも、ライブドア事件や今年発覚したAIJ事件でも、投資ファンドが使われていた。

 しかし、これらをもって「投資ファンド=悪」と決め付けるのは拙速すぎよう。本稿では、オリンパス問題を手掛かりに、投資ファンドを使った不正がどうして可能だったのかを検証すると共に、今後、投資家が気をつけるべき点を洗い出してみたい。

ファンドを使った
「飛ばし」の構図

 オリンパスが用いた「飛ばし」の手法は、調査報告書の中で「損失分離スキーム」という名前で描写されている。それは、「オリンパスの連結対象とならないファンドに含み損のある金融商品を簿価で買い取らせて含み損を表面化させない方法」(調査報告書より)である。

 その詳細は余りに煩雑なので、調査報告書に譲るが、記載があるだけで少なくとも6つの国内籍・海外籍のファンドと、複数のSPC(特別目的会社)が複雑に絡み合っていることがわかる。その「飛ばし」は、本質だけを要約すれば、以下のようなものである。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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