テレワーク,悩み緊急事態宣言解除後の企業の対応は、原則出社、原則テレワーク、あるいはそのミックスなど、さまざまです(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染が再び拡大する今、「原則テレワーク」あるいは「出社とテレワークのブレンド」という企業がある一方で、「原則出社」に戻ってしまった企業も少なくありません。こうした対応の違いは、緊急事態宣言中あるいはその前に、テレワーク下で起こる「5つの壁」を乗り越え、テレワークに適した組織になっていたかどうかで生まれているように思います。では、テレワークの定着を阻む「5つの壁」とは一体、何でしょうか。

「急激」「一斉」「大規模」な実施が
懸念や不安を置き去りにした

 テレワークの特徴の一つは、「懸念や不安を抱きやすい施策であるため、導入までの壁は高い」が、「一旦導入すれば、意外と何とかなり、当初の懸念や不安は杞憂であったとわかることが多い」施策であるということです。

 つまり、テレワークは実際に実施してみるとメリットが多い施策である一方で、導入前の懸念や不安が解消できないと導入に至りにくい施策だといえます。

 しかし、そんなテレワークは今回、コロナの感染拡大を機に「急激に」「一斉に」「大規模に」行われました。よって、企業ごとの対面とリモートの良いバランスは十分に検討されず、社内関係者が抱いていた懸念や不安をいったん脇に置いた状態で導入することとなりました。

 緊急事態宣言が明けてから原則出社に戻っているような企業では、未解決だったテレワークへの懸念や不安が顕在化していたのではないでしょうか。特に、テレワーク定着の大きな「壁」として立ちふさがりやすい懸念や不安が、以下の5つです。

【テレワーク定着を阻む壁(1)】
経営層が「メリットがない」と考えている

 1つ目は、「メリット不在の壁」です。これは主として経営層や事業責任者など、役職が高く、影響力の強い人物が、テレワークに懸念や不安を持ち、メリットを感じていないために立ちはだかる壁です。このような企業において、緊急事態宣言の下で行われたテレワークはあくまで“非常時の時限的な対応”です。よって、状況が変わればテレワークを推奨していた状況にも揺り戻しが起きます。